マカオのVIPゲーミング部門が2020年のゲーミング粗収益に壊滅的な打撃を与えた逆風から回復するには5年はかかる可能性がある。取扱高は2025年になっても2019年の水準を下回ったままとなるかもしれない。
アナリストたちは今週、この地域のゲーミング事業者にとって2021年には何が待ち受けているのかということに関していささか異なる見方を示し、下半期には高い伸びがあると予想する者もいれば、新型コロナの影響が長引くという懸念を示した者もいる。しかし、全員に一致しているのが、VIPの突然の復活というものがすぐに起こることはないという点だ。サンフォード C バーンスタインのヴィタリー・ウマンスキー氏、ティエンジャオ・ユー氏、ケルシー・ヂゥー氏は、VIP GGRは「2025年になってもなお2019年を下回る水準」になると予想している。
「VIPは送金や顧客に関する精査やジャンケットとの取引に関するエージェンの懸念等から継続してマイナスの影響を受ける可能性が高い」同投資顧問会社はそう述べている。バーンスタインのアナリストは、今年VIPは2019年のおよそ50%に、2022年に約90%の水準に回復し、その後停滞すると見ている。それに対してマスは2021年に75%、そして2022年には110%に回復すると予想している。
しかしながら、VIPが直面している困難が、「プレミアムダイレクトおよびプレミアムマスに一部プラスの影響を及ぼすかもしれない。一部の客がゲームプレイをシフトするためだ。
回復の初期段階において、プレミアムマスから並外れて大きな収入を得ている事業者(メルコとウィン・マカオ)は、今後6カ月、そしてその後も基本的に他を上回る業績をあげると予想している。というのも、プレミアム客は、新型コロナに関連する経済的影響をあまり受けず、GGRの成長を推進するのに必要な客数が少なくて済むからだ」と述べている。
クレディ・スイスのアナリストは、その見方を完全には支持しておらず、マカオのカジノ事業者が20年第4四半期に黒字のEBITDAに転換するのを助けた立役者である利益の多いプレミアムマスが、今後数カ月に独自の逆風に直面する可能性があると見ている。
アナリストのケネス・フォン氏、ロク・カン・チャン氏、レベッカ・ロー氏は「我々は、現在の重要な制約は(マカオ入境の際に求められる)新型コロナウイルス検査ではなく、規制だと見ている。というのも、ギャンブル常連客のビザ取得には時間がかかかり、金の流れは今なお厳しく規制され、そしてジャンケットによる信用貸しは慎重だと聞いている。
カジノ営業や海外賭博促進への取り締まり強化を盛り込んだ中国の改正新刑法は2021年3月1日に施行される。多くのジャンケットとプレミアムマスホストは、訪中回数を制限する計画だ。
ハイエンドのプレミアムマス(マスGGRのおよそ30%を占める)では、資本へのアクセシビリティの制限と訪問頻度の減少により、今後の展望はより弱気となる。また、厳しい規制管理とVIPの低迷の中で新たなプレイヤーを育てるのはより厳しい」と述べている。
クレディ・スイスのアナリストたちは、21年上半期について前向きな見方をしておらず、ワクチン接種率が年末までに4割にしか達しないと見ており、その結果、2021年GGR予想を14%、さらなる下降リスクによって2022年予想を12%下方修正している。