北海道の鈴木直道知事は、先週の定例会見で、今年中のIR誘致活動再開には時間が不足していることを示唆したものの、明確な判断の表明には至らなかった。
2019年末に北海道のIR誘致を見送った鈴木知事が日本政府による申請期間延期後にその立場を正式発表したと日本では広く報じられているものの、知事の発言を詳しく考察すると、この問題に関して一切断固とした立場を取っていないことが分かる。
鈴木知事は14日、政府がIR(統合型リゾート施設)誘致の申請期間を9カ月延期したことについて、「十分な検討期間が確保されたものとは言えない」と述べ、改めてIR誘致に関しての見解を示した。
鈴木知事は記者会見で、政府が、当初2021年の7月30日だった申請期限を9カ月延ばして2022年4月28日とした件に関して「道としては今回の申請期間のもとでは十分な検討期間が確保されたものとは言えない」との見解を示し、「(先日取りまとめた)次期『北海道観光のくにづくり行動計画』の中間とりまとめにおいて、IRをポストコロナを見据えた新たなインバウンドの取り込み方策と位置づけたところだが、新たな北海道らしいIRコンセプトの構築にむけて議論を進めていくことが必要だと考えている」と述べた。
「北海道としては新型コロナが一定程度収まってからではないと判断ができないということか」との質問に知事は、「世界的に感染が拡大している新型コロナのこともあり、世界経済の動向が見通せない。事業者を取り巻く経営環境、国内外の感染や経済状況を踏まえると、十分な検討期間が確保されたものとは言えない」と答えた。
その後も知事は、「(つまり)道として(今回の)申請はできないという認識で良いか」などの質問に、「十分な検討期間が確保されたとは言えない」とだけ繰り返し述べるにとどまり、申請の判断にかかる核心的な明言を避けた内容となった。
IR整備法の下では、最初の入札で日本政府は最大3カ所を認定する予定で、7年経過後にさらに追加される可能性がある。
鈴木知事の日程をめぐる懸念についてはほぼ事実である一方で、北海道が日本のIRレースから完全に撤退したかを決めるのは幾分時期尚早のように見える。