IAGと責任あるギャンブル委員会との新たなコラボレーション第4弾では、委員会のマネージングディレクターでベストプラクティス発展センター所長のジャニー・ロビンソンが、企業の文化に責任あるゲーミングを組み込むことの重要性について議論する。
責任あるギャンブル(RG)は、ギャンブルに関連する危害から一般の人々を守る際の極めて重要な戦略として世界的に認められていると同時に、持続可能なプレイヤーベースを支えてくれる。それがうまく実行されれば、RGは単なるチェックリストから、組織の文化と存在意義の重要な部分へと移行する。
組織文化は「トップで」確立され、組織全体に伝えられた共通の信念と価値観がベースとなる。あらゆる組織のゴールとは、従業員が単に役割をこなすというレベルから、その役割を自分の中に取り込み、日々の職務全体を通してそれを映し出すということができるまでにさせることだ。
強固なRG文化を築くことは、信念や基準を方針および安定した研修に作り上げて、コミュニケーションを測り、戦略を実行できるようにすることからスタートする。しかし、そこで終わるわけではない。RGにおけるリーダーたちは、組織の骨組み全体におけるこれら戦術の重要性、そしてそれらを全スタッフによって実行される日 々のオペレーションに組み込むことの価値を知っている。
方針というものは、測定可能であり、かつ見直されることで成功することができる。その中で、その市場または法域特有の文化規範及び振る舞いを考慮に入れる必要がある。普遍的な原理に根ざしているものの、これら多様な文化および社会規範への理解を明確に示すことが、成功するオーダーメイドのRG文化を育むきっかけになり得る。
方針が文化変化に影響する:リーディングプラクテ ィス
行動や実践を伴わない方針は単なる言葉に過ぎない。意味ある行動や変化を起こすには、方針の中に実践がシンプルな形で書かれ、それがトップダウンで推進されなければならない。方針が成功するには測定可能であることも求められる。良い方針というのは、行動可能で、伝達され、サポートされ、見直しが行われ、そして適切な期間内にアップデートされるようなものだ。日常のRGリーダーを育て、認める方針によって、従業員は達成感を共有でき、生産性の向上を推進する。なぜなら、周りは彼らが重要な仕事をしていると見るからだ。
より新しい市場が、RGは利益にマイナスの影響を与えるという懸念を持つ可能性があることは理解できる。しかし、そのような根拠はない。RGはプレイヤーが持続可能な形でプレイできることを支援するという意図で設計されており、長期的な事業目的と一致する。実践を方針に組み込んでRG文化を築くことで、より新しい市場にいる事業者がプレイヤージャーニー全体でプレイヤーと関わる機会への扉が開かれる。
すでに存在感を確立している一部のトップ市場は、ビジネスモデルにRG文化を組み込んでおり、その重要性と将来にまで及ぶプラスの効果を理解している。ビジネスにとっても、顧客にとっても、そして従業員にとっても良い。
研修が組織文化を強化・推進する
方針が成功要因であるなら、研修は推進力であり、異なるレベルのスタッフに重要なメッセージと適切なスキルセットを届けることで変化を生み出す。研修は人材への投資であり、従業員の誇りと仕事への満足度を向上させ、そして従業員にプレイヤーと適切な関わりを持つための自信を与える。最前線にいるスタッフに必要なツール、スキルそして経営陣からのサポートを提供して仕事のパフォーマンスを強化する。この関わりが従業員とプレイヤーの間で有意義な絆を作り出し、そして持続可能なプレイヤーベースの構築を促す。
組織が持つ既存の研修を第三者が評価することによって、何が機能していて、改善すべき部分はどこなのかが見えてくる。RGプラスとは、オーダーメイド研修の提供でトップを走っており、効果的かつ測定可能な研修パッケージ作成において資産となり得る。この種の評価が、組織内での透明性と説明責任を高め、熟練した人材の保持という結果につながる。
強固な文化は、真の資産であり、組織の長期存続を証明してくれる。説明責任、透明性そして文化的規範が、全スタッフに浸透する強固な方針の基礎となり、彼らに変化を起こす人物になる力を与える。それが戦略を立てる取締役会の中であっても、またはプレイヤーと直接話をするゲーミングフロア上であっても、組織の成功を形作る中で、文化が重要な役割を果たす。