オーストラリアの金融犯罪監視機関、AUSTRACのCEOは、自社のゲーミング施設内で営業するジャンケット事業者の営業を監視するのは規制機関ではなくカジノ事業者の責任だと話す。
豪メディア大手、ニューズ・コープの報道によると、AUSTRACのニコール・ローズ代表が、金曜の上院評価公聴会(Senate estimates hearing)の中で今回の主張を行った。公聴会では、最近NSW独立酒類・ゲーミング局(ILGA)によってクラウン・リゾーツへの調査が行われたことを受けて、ローズ代表がジャンケットコンプライアンスを取り巻く問題に関して上院議員たちから質問を受けた。
ローズ代表は、「AUSTRACはジャンケットツアー事業者を規制しない。その責任は業界にあり、AML(資金洗浄防止)およびCTF(テロ資金供与防止)義務に確実に従わなければならない。連邦裁判所もこの見方を繰り返し述べている」と述べた。
オーストラリアでのジャンケットの規制にある明らかな空白を強調したローズ代表は、「国内法上の規制がこの問題に対処する予定はない」、そして「業界がその独自のリスクを管理・評価するのに適切な立場にある」と述べた。
ローズ代表の発言の前の10月、AUSTRACはクラウンによるマネーロンダリング防止法への違反の可能性および「クラウン・メルボルンの高リスクおよび重要な公的地位を有する者に識別される顧客の管理」に関連する正式な法執行調査を開始すると発表した。
ILGAの調査は、22億豪ドル(約1,701億円)のクラウン・シドニー開発のためのNSWカジノライセンス保有に関するクラウンの適性を見極めるためのもので、同社の国際的なVIP事業に関するデューデリジェンス手続きへの疑問を提起している。
AUSTRACの2017年の報告書は、ジャンケットが連れてくる客に対する豪カジノによる直接の身元調査の欠如など、カジノのジャンケット事業者との関わり方に関する懸念を強調していた。
報告書には、「カジノの視点から見ると、ジャンケットツアー事業者から来る全ての前金と全勝ち金はジャンケットツアー事業者へと行く。
これは、これら取引への全ての報告が、個々の参加者による財務活動ではなく、ジャンケットツアー事業者の名の下でのみ発生することを意味する。これがジャンケット事業にとっての重大な脆弱性である。
ジャンケットが悪用されている可能性があるということが理論上の概念としてあったものの、この可能性が真剣に受け止められなかったというのがAUSTRACの見方だ」とある。