取締役兼CEO
サンシティグループ
取締役会長
サンシティ グループ ホールディングス
非業務執行取締役会長
サミット・アセント・ホールディングス
パワースコア: 2,719
昨年の順位: 6
評価理由
• 香港に上場する子会社を通じてサンシティをジャンケットプロモーターからカジノオーナー兼事業者へと拡大
• マカオのジャンケット市場で支配を増大
• 街をリードする産業でトップのマカオ出身者
アルヴィン・チャウ氏の一年を波乱万丈と呼ぶことは、新型コロナのパンデミックを、軽い季節性インフルエンザと呼ぶようなものだ。
中国での経済成長の鈍化と中国政府による海外資金送金への監視の高まりによって、すでにマカオのVIPゲーミング収益の後退に直面していたジャンケットセクターは、入境口の扉を勢いよく閉め、無期限でほとんどの国際的な移動を停止させている新型コロナに不意を突かれた形だ。
8月、中国文化観光部は、中国本土の客をターゲットにしたカジノをオープンすることで、同部が言うところの国のアウトバウンド観光市場を混乱させている海外観光地の「ブラックリスト」を作成したと発表した。具体的な場所の名は挙げられていないものの、同部はフィリピン、カンボジアそしてベトナムなどの東南アジアの法域を言 っているという見方でだいたい一致している。サンシティグループはその3つの国にVIPルームを持っている。
一方で、そのような課題の結果として、サンシティの流動性を疑問視する噂がオンライン上で広がったことで、チャウ氏は表に出て、サンシティの財務の詳細を明かすことを余儀なくされた。これは、伝統的に目立たないように営業することを好む業界にとっては前代未聞の動きだった。
一部のマカオジャンケットに関する「取り付け騒ぎ」の噂がさらに広がったことを受けて、チャウ氏は「当社には不良債権や全クライアントのチップデポジットを相殺する能力、そして十分な資金がある。サンシティが非常に安定した財務状態にあることを繰り返し言いたい」と述べた。
このようなことがあっても、サンシティグループの上場子会社は強気な動きで前進を続け、カジノ運営の世界へと向かっている。
6月、サンシティ、現地企業のビナキャピタル、そして香港のVMSインベストメントグループの合弁事業であるベトナムの統合型リゾート、ホイアナがソフトオープンを迎えた。現在稼働している施設には、ゲーミングテーブル140台、スロットマシン300台を持つホイアナ・カジノ、ホイアナ・ショアーズ・ゴルフクラブ、一部の飲食店、4軒のホテルのうちの最初の1軒などがある。
同社はまた、ロシアのウラジオストクにあるティグレ デ クリスタルの60%を所有するサミット・アセント・ホールディングスへの持株比率を27.74%から69.78%に引き上げている最中だ。2億米ドルのティグレ デ クリスタル第2フェーズ拡張は2022年のオープンが予定されており、新しいホテルスペース、バー、レストラン、小売およびその他の非ゲーミング要素が追加される。
昨年末頃にサンシティは、フィリピンの上場会社、サントラスト・ホーム・ディベロッパーズの51%の株式を取得し、その後マニラの7億米ドルのウェストサイドシティ・リゾートワールドタウンシップでカジノおよびホテルを開発・運営する合意に達した。
そして新たに和歌山に開設したオフィスが、同社の日本での統合型リゾート開発計画を際立たせている。
チャウ氏自身は、明らかにサンシティの未来に自信を持っている。4月、同氏は個人的に同上場子会社に提供した総額38億8,000万香港ドル(約530億円)の貸付を、永久債と交換し、財務上の確実性を強め、その後必要であれば最大でさらに60億香港ドル(約820億円)の追加資金を用意すると約束した。
チャウ氏の野望がこれまで以上に揺るぎないものになっているのは明らかだ。