会長兼CEO
メルコリゾーツ&エンターテインメント
会長兼CEO
メルコ・インターナショナル
取締役
スタジオシティ・インターナショナル
パワースコア: 3,856
昨年の順位: 3
評価理由
• サンズ・チャイナ以外でコタイの中央通りに正面が面している唯一の事業者
• 日本の統合型リゾートライセンスを勝ち取るために「必要なことは何でもする」と断言
• シティー オブ ドリームス マニラでフィリピンに唯一展開するマカオの事業者豪クラウン・リゾーツの9.99%の株式取得後買収計画を断念
• ユニークなアトラクション『ハウス・オブ・ダンシング・ウォーター』とモーフィアスホテルの創設者
今年はゲーミング業界にとっては厳しい年だ。そして特にメルコのローレンス・ホー会長兼CEOにとってはさらに厳しい。5月、父親であり「マカオのカジノ王」として有名なスタンレー・ホー氏が98歳で逝去した。同氏は2009年の脳損傷によって事実上、ビジネス界からは引退状態にあった。息子のホー氏は、数十年前の父親と同様に投資銀行でのキャリアを捨て、家族のゲーミング事業に加わった。しかしながら、ローレンス・ホー氏の過去の行動の名残が最近メルコに最大の影響を与えている。
元々は、SJMホールディングスのゲーミングコンセッションの下でサテライトカジノを運営していたメルコは、オーストラリアの億万長者ジェームス・パッカー氏と同盟を組んだ。伝説的なギャンブラーで、メディア王からカジノ投資家に転身したケリー・パッカー氏の死によって、その息子は、オーストラリア最大手のカジノ事業者である現在のクラウン・リゾーツの主要株主になった、ローレンス・ホー氏とパッカー氏は、合弁会社を立ち上げ、それがメルコ・クラウンとなり、2006年3月、同社は9億ドルを投じて、ウィン・リゾーツに与えられたマカオのゲーミングサブコンセッションを購入した。その年の12月にこの合弁会社はナスダックへの上場を果たした。
主導者それぞれが同席会長の役職を持ったものの、ホー氏がパレードを先導した。2007年、メルコ・クラウンは最初の施設で現在はアルティラとなっているクラウン・マカオをオープンした。その後2009年に、サンズ・チャイナのベネチアン・マカオと道を挟んで反対側の、コタイの中央通りの最も上部に位置するシティー オブ ドリームスが続いた。メルコ・クラウンは、2014年末にシティー オブ ドリームスブランドをマニラへと拡大させた。同社はマカオで長い間行き詰っていたスタジオシティプロジェクトの60%を取得し、2015年10月にシティー オブ ドリームスとは逆のコタイの端に32億米ドルの施設をオープンさせた。
1年後、クラウン従業員19人が中国で拘束され、違法な賭博広告を行なった罪に問われた。2016年12月、クラウンはメルコ・クラウンに持つ株式数を減らし、2017年5月にはその残りを売却。ホー氏が 「ゲーミング史で最も成功したパートナーシップ」と読んだ関係は終わりを迎えた。 2018年3月、パッカー氏が心の病を理由にクラウンを辞めた。
退職にもかかわらず、パッカー氏はクラウンの46%を所有し、昨年初めにウィン・リゾーツがその株式の一部を購入することを短期間検討していた。パッカー氏の、売却したいという思いに呼び寄せられてホー氏が入ってきた。2019年5月、メルコは、買収の可能性を目標に、12億6,000万米ドルで2回のトランシェに分けて、パッカー氏からクラウン株19.99%を購入すると発表した。マーケットトップの資産の追加と地理的な多様化に加えて、ホー氏は、日本でゲーミングライセンスを獲得するために「必要なことは何でもする」という彼の最優先事項を前進させるために、クラウンの取得によってメルコが世界でも最も厳しい法域で法規制に合格できることを証明したかった。
2014年、まだメルコと提携している間に、クラウンは現在開発中の22億豪ドル(約1,650億円)のシドニーカジノホテル計画を提案した。ニューサウスウェールズ州は、メルコに一切出る幕の無いこのプロジェクトを承認したが、もうビジネス界では活動していなかったにも関わらず、事実上働けないという状態でなければ、スタンレー・ホー博士による関与を明確に禁止した。
メルコがクラウンの最初の9.99%を取得したことが、州の独立酒類・ゲーミング局による新たな細かい調査に絡んでしまった。その調査には1月から10月まで続いた審問が含まれており、長く続けた主な理由はオーストラリアマスコミのクラウン・リゾーツに対しての否定的な報道だった。控えめに言えば審問自体がパブリック・リレーションズにおける危機になった。
メルコは買収計画を断念し、香港証券取引所への報告書によると、4月に新型コロナが世界的に流行する中「核となる事業」を支え、バランスシートを強化するために、クラウンの持ち株をブラックストーングループに売却した。メルコは取引で、一年の利益に相当する2億3,500万米ドルを失った。
新型コロナウイルス感染症の世界IR業界への影響を受け、クラウンとの過失は最終的には不幸に見えて実はありがたいものになるかもしれない。また、これでメルコは2021に念願の日本版IRのライセンスに焦点を当てることができるようになるだろう。