前執行役会長のジョン・アレキサンダー氏が、クラウン・リゾーツのNSWカジノライセンス保有適性に関する調査に対して、近く行われる年次株主総会で取締役を辞任する意向であると話した。
アレクサンダー氏は、反資金洗浄問題に関するリスクおよびコンプライアンス対策をクラウンが怠ったという疑惑をめぐって、調査を助ける弁護士から厳しい尋問を受けていた。
1月に執行役会長を辞任したアレクサンダー氏は、クラウンのAML管理不足に責任があることを認め、弁護士から2020年10月22日に予定されている今月の年次株主総会で取締役を辞任するつもりというのが本当かと聞かれ、「その通りだ」と答えた。
クラウンの筆頭株主であるジェームス・パッカー氏の親友であり、ベテランの取締役でもあるアレクサンダー氏は、同社が確実にAML義務を果たすために取った「直接的な対策はなかった」ことをそれまでに認めていた。
アレクサンダー氏は、「それらの義務が果たされていると思い込んでいた」と述べ、クラウンが自社カジノ内のジャンケットルームで行われた高額のデポジットや送金について認識していなかったという疑惑に言及した。
今回のクラウンのNSWでのカジノライセンス保有適正への調査は、メディアがクラウンのジャンケットパートナーが組織犯罪と繋がりがあるという疑いを報じたを受けて昨年発表された。NSWでは12月14日に22億のクラウン・シドニーの開業が予定されている。
また、持株クラウン株の19.99%をメルコへ売却する予定を調査する用意をしていたのに、メルコリゾーツ&エンターテインメントが今年に入って取引から手を引き、既存のクラウン株を売却した。
クラウンは先週、2020年6月30日まで全てのジャンケットプレイを停止して、ジャンケットに関する手続きの社内調査を行うことを明かしていたものの、新型コロナウイルスによる世界的な渡航制限を考えると、今回の停止がVIP収益に何らかの影響がある可能性は低い。