ラスベガス・サンズは、シンガポールの統合型リゾート、マリーナベイ・サンズ(MBS)の従業員による顧客口座間の10億米ドルの資金移動疑惑に関して2度目の調査を行うために法律事務所と契約した。
ブルームバーグの報道によると、シンガポールの法律事務所Davinder Singh Chambersが、シンガポール警察による同問題への捜査に対応して、MBSの社内手続きの追跡調査を行う。
警察による同捜査は、元ハイローラーの王曦(Wang Xi)氏が、MBSのスタッフが910万シンガポールドル(約7億円)を同氏の同意なしに他の顧客口座へと移動したと最近訴えたことを受けて行われた。同意があればそのような行為は合法だが、王氏は同カジノ事業者に対して訴訟を提起し、MBSが受け取った委任状にある署名は違法にコピー・貼り付けされたもので、資金の受取人となったいずれの人物のことも知らないと主張した。
王氏とMBSは7月、法廷の外で同問題に関する和解に達していた。
すでに和解していたにも関わらず、MBSと別の法律事務所Hogan Lovellsが以前行った独自慣行の調査から、従業員がすでに署名されたまたはコピーされた委任状を使い、正当な基準に従うことを怠ったケースが見つかったと言われている。その調査では、総額14億シンガポールドルを超える資金移動に関わる委任状3,000通以上が調べられた。
シンガポール・カジノ規制庁(Casino Regulatory Authority)はその後、MBSがその要件に違反した証拠はなかったと述べたものの、「資金移動に関するMBSのカジノ管理措置に脆弱性があった」、そして「MBSにその管理措置を強化するよう指導してきており、MBSはそれ以来管理強化に着手している」と述べた。
王氏の訴訟はまた、今年に入って米法務省が行なった反マネーロンダリング規則への違反の可能性に関するMBSへの捜査にもつながっており、ブルームバーグの6月の報道によると、米検察官は、ジャンケット、そしてカジノ与信を使用した第三者による貸付の利用に関する違反の可能性、そして内部告発者への報復があったかどうかを調査していると言われていた。
今週ブルームバーグに提供された声明の中で、MBSは「継続して規制機関と密接に協力し、MBSの全ての法的義務へのコンプライアンスを監視していく」と述べた。