IAGと、カナダに拠点を置く国際NPO法人「責任あるゲーミング委員会(Responsible Gambling Council:RGC)」との間の新しいコラボレーションの第一弾として、RGCのシェリー・ホワイトCEOが、成功する責任あるゲーミング戦略へのカギを説明する。
責任あるゲーミング(RG)の目標は、積極的に健全なギャンブル習慣を奨励し、効果的な予防対策を確保してリスクを軽減することだ。過去数年の間に、世界では事業者や規制機関が責任あるゲーミング戦略を実施する流れが増してきている。
総合的なRG戦略には、プレイヤー、事業者、公共政策立案者の間での説明責任や協力の意識共有が含まれる。プレイヤーは、自分のプレイに関して賢明な決定を行うための知識やツールにアクセスできなければならない。事業者は、ギャンブルの有害性を防止し、優れたカスタマーサービスを促進する公平かつ安全な環境を生み出さなければならない。公共政策立案者は、問題あるギャンブリングリスクおよびコミュニティへの負の影響を最小化するために政策や規制を確立し、監視を行う責任を負う。この全てが1つにな った時、RGはビジネス、コミュニティそしてプレイヤーにとって有益だ。
規制、予防教育、研修、認定、リサーチ、評価が総合的RG戦略の要素となる。RGは漸進的かつ先進的でいるということだ。動的なRG戦略にとって、ギャンブルの負の影響を軽減するために潜在的な危険を予測することが重要だ。事業者の経営陣は、これらの活動を継続的かつうまく実践することにおいて極めて重要なリーダ ーの役割を担う。
RGとは画一的なアプローチではない。
強固なRG戦略の要素が同じである一方で、各法域で使われる戦術というのは様々である可能性がある。世界にどう届けられるかは、個々のマーケットのニーズを反映する必要がある。
アジアでは、新興の、もしくは成熟したギャンブル市場であっても、世界トップレベルのRG活動が文化的に適切であるよう、そしてその法域の構造に合ったものに調整されていることが非常に重要となる。プレイヤーの共感を呼ぶために、そのアプローチは、文化上の価値観、宗教上の信仰、言語そして歴史に合ったものでなければならない。
成功するRG戦略には、リスク軽減、そして影響を受けやすい人を守ることに関する規制当局と事業者間の十分なコミュニケーシ ョンが求められる。
強固なRGプログラムの構築。
情報を十分に得た意思決定こそが、強固なRG戦略の柱となる。ゴールは、自分のプレイに関して決定を下すことができる、十分に知識を得た顧客ベースを作ることだ。ゲストが容易にアクセスできる様々な情報を用意しておくことがかなり効果的であると証明されている。
シンガポールのマリーナベイ・サンズが採用するRGの取り組みの1つが、パンフレットなどのRG関連資料が常にゲーミングフロアの目につく場所にあり、それが偏見を助長しない方法で設置されているようにすることだ。
最前線のスタッフはプレイヤーとの最初の接触点である場合が多い。適切なスタッフ研修によってスタッフは、プレイヤーが自身のゲーミングを安全な状態にしておくのを支えるのに必要な知識と自信を得ることができる。プレイヤーのニーズを認識し、それに応える彼らの能力こそが、思い出に残るプレイヤー体験を作り出す。これによって一度限りの客をリピーターに変えることができる。
現地にプレイヤーインフォメーションセンターを設置していることが、事業者のプレイヤーのための予防対策へのコミットメントを際立たせる。カナダのオンタリオでは、プレイスマートセンターが、26箇所以上のカジノで年間30万人以上のプレイヤーをサポートしている。そのスタッフはプレイヤーに安全なプレイに関する情報を届け、教育イベントやサポートを提供する。毎年の評価が一貫して、同センターがプレイヤーと事業者の両方から高い評価を受けていることを示している。
RGのインパクトを測定すること。
「重要業績評価指標(KPI)」を設定し、継続して評価することが、RGの効果を測るのには不可欠だ。その大きな理由は「業界が常に進化している」という点だ。プログラム評価、顧客リサーチ、そして認定というものは、事業者や規制機関がRGプログラムを測定するのに使用するツールのいくつかにすぎない。
これらの結果が、RGプログラムへの継続的な改善点を知らせてくれ、規制機関には持続可能なプレイを強化する政策変更を提言してくれる。
詳しい情報はwww.responsiblegambling.orgから。