「カジノ王」岡田和生氏が、元会長を務めていた株式会社ユニバーサルエンターテインメントに極めて重要な勝利を収めた。ユニバーサルは、岡田氏による香港の資産処分の阻止を求めていたものの、香港特別行政区高等法院がその申し立てを棄却した。
岡田氏の資産凍結を求めるこの申し立ては、聴聞に関係しており、そこでユニバーサルは、フィリピンの統合型リゾート、オカダ・マニラの開発費用の予算超過につながったとする管理不行き届きを主張して、6億2,000万米ドル(約653億7,160万円)の損害賠償を請求している。
裁判所に提供された情報によると、オカダ・マニラのプロジェクトには24億3,000万米ドルという承認済の開発予算があったものの、2009年9月までに発生した費用は30億5,000万米ドルにのぼり、6億2,000万米ドルも予算を超過していた。
ユニバーサルは、岡田氏が、2017年6月に取締役の座を失うまでに、「リスク最小化、資金流用防止、そして予算超過防止のために実施されていた全ての管理対策を台無しにした」と訴えている。
同社はまた、岡田氏失脚時点での予算超過分1億1,260万米ドルという「予備の金額」も提案した。
新型コロナウイルスの影響による香港の法律問題への総休廷期間(General Adjournment Period)によって、実際の訴訟が保留となる中、ユニバーサルは、同社が勝訴した場合に理論上損害賠償に使用される可能性がある資産を岡田氏が売却することを阻止するよう求めている。それらの資産には、香港で法人化されているオカダホールディングスやオカダファインアートの岡田氏の持株が含まれている。
しかし、2020年7月17日付の長文の判決の中で、ラッセル・コールマン裁判官は、損害賠償請求額が非現実的であったことで、ユニバーサルは凍結命令を引き出すのに“必要な有理性のある請求の十分な判断基準”を証明することができず、凍結命令を手に入れることができなかったと述べた。
特にコールマン裁判官は、「通常支払われた金は見返りにいくらかの価値を受け取る」ために、損失が、承認済予算を超えて支払われた追加の開発費用と一致するという主張の「明らかな難しさ」を指摘した。
同裁判官は、「聴聞での証拠提出まで、原告側は損害賠償請求が、現実的に単なる予算超過額ではないということを裏付けなかったようだ。6億2,000万米ドルが正しい答えである可能性が低いこと、そして別の日を参考に提案された代わりの額(1億1,260万米ドル)の証明に同じく本質的な難しさがあることが認められれば、残念ながらいかなる特定の金額にも有理性があることを示す証拠が実際にあるとは思えない。今ある証拠でベストを尽くしたとしても、何らかの損害賠償額に落ち着くということであれば、事実上、自由裁量の額を選んだも同然である」と述べた。
今回の判決にはユニバーサルに対する岡田氏側の訴訟費用の支払い命令が含まれている。
この問題を良く知る人からの情報によると、それらの費用は各自25万米ドル程度と予想されている。