ノルウェージャン・クルーズライン・ホールディングス(NCLH)が9月中そして10月にかけて運航予定であったクルーズ船の大多数をキャンセルしたことを受けて、野村證券が、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)によるクルーズ船業界の「一方的な扱い」を不当だと指摘した。
世界第3位のクルーズ船事業者であるNCLHは水曜早朝、新型コロナウイルスの影響が続いているために、8月と9月のほぼ全て、そして10月の多数のクルーズが運航を停止すると発表した。大株主にゲンティン香港が入っていたこともあるNCLHは、世界中で3ブランド28隻のクルーズ船を運航している。
さらに多くの船旅がキャンセルされたのは、CDCが3月14日に発令した「運航停止令」に従うもので、この命令は今日に至るまで有効なままで、近いうちに解除されるということは示されていない。
しかしながら、野村證券のアナリストは、ここ数週間でカジノやリゾートといった他の観光・レジャー産業が再開したことを考えると、NCLHおよび他のクルーズ船事業者への扱いは、「不当」であるように見えるとレポートの中で指摘した。
野村は以下のように述べた。「問題は、この業界が衛生手順の構築の中で受け身できているということではない。全く逆だ。我々の見方では、問題はCDCが話し合い、議論、そして相互に最高水準の乗客・乗員の健康管理を実施する気がないというところにある。
大手クルーズ船事業者は、優秀なウイルス学者や医療政策の専門家の委員会を立ち上げ、何週間もの間、新手順に関する提案を行なってきた。しかし航海再開に関する双方向の話し合いへのCDCの関心は低い。
彼らは、CDCからの反対の声が一言もなく、大多数のビジネスが再開し、リゾートやカジノがゲストを迎え、多くのフライトがほぼ上限人数を載せて飛び立っていたとしても、営業再開など考えることすらするなと言っているように見える。
クルーズ船業界、その乗客そして従業員は、CDCから食肉包装工場、介護施設そして刑務所などと同じように見られているようだ。この業界は決定に対する請願や要請の手段をほとんど持っていない。(CDCは)船を停泊させたままにし、航海を決めた場合には、船を没収または隔離する力を持っている。
このペースでは、全乗員を下船させるのにさらに1カ月かかり、CDCが専門家委員会の提言に回答するまでにはさらに3から6カ月はかかる可能性がある。それまでに2020年のシーズンは終わってしまう。
我々の見方では、そのような一方的な扱いには何か不当なところがある。我々は、CDCがクルーズ船業界を協力的なパートナーとして考え直すのが早ければ早いほど、従業員はより早く仕事に戻り、熱心なクルーズ船ファンはより早くリゾート、カジノおよび航空会社の顧客に与えられているのと同じ機会を享受できると考えている」
水曜のニュースを受けてNCLH株は13%下落し、マーケットリーダーのカーニバル株は11%下落した。