横浜港の港湾事業者でつくる横浜港運協会の藤木幸夫氏(89)は17日、会長を退任すると明らかにした。横浜市内で開いた総会で、「8月で90歳になる。身を引いて新しい体制をつくってもらう」と表明し、相談役となることで了承された。後任の会長には副会長で長男の幸太氏(65)=藤木企業社長=が就任した。神奈川新聞が伝えた。
同紙によると、藤木氏は今後、市が山下ふ頭への誘致を表明しているIR(統合型リゾート施設)の整備計画撤回に注力する方針。一般社団法人「横浜港ハーバーリゾート協会」の会長職に専念し、カジノに依存しない再開発構想の具体化を図るという。
「横浜ハーバーリゾート協会」は藤木氏が2019年5月、横浜市のIRにおけるカジノ設置に反対し立ち上げた団体。「海外企業にお金が落ちるだけ。依存症の深刻な問題もある」と述べ、「どんなに金を積まれてもダメだ」「(IR誘致予定地の山下ふ頭から)市が立ち退きを求めても退去しない」と、強くカジノ反対を訴えている。
藤木氏は藤木企業の会長、横浜エフエム放送社長、県野球協議会会長など多数の役職につき、政財界との繋がりも深く、「ハマのドン」とも称されている人物。今回この藤木氏がIR整備計画撤回に専念すると表明したことで、横浜市はIR誘致に関し、今まで以上に苦戦を強いられることは明らかである。