サンシティグループは、4月の和歌山県の提案依頼(RFP)に申請をした2社のうちの1社であり、IR2.0コンセプトを掲げた日本式統合型リゾートの壮大な計画を持っている。
サンシティグループが、関西エリアの本州最南端に位置する和歌山県における統合型リゾートのコンセプトを初めて発表したのは、2019年8月だった。
この発表は、サンシティ(かねてからVIPプロモーターおよび高級エンターテイメントサービスの事業者として知られている)から、その立場を決定づける明確な意思表示として、アジアで最も有名なIR事業者らの間で注目された。サンシティはすでに最初のIRであるベトナム・ホイアナの開発に深く関わってきた。最近ではサミット・アセント・ホ ールディングスの筆頭株主となり、ロシアのウラジオストクにあるティグレ・デ・クリスタル・カジノリゾートの所有者兼運営会社にもなっている。同社の和歌山県IR計画は競合他社との差別化を図っている。
「サンシティは、日本に設立したサンシティグループホールディングスジャパン株式会社を通じて、IR2.0と呼ばれるコンセプトを考案しました。
競合他社とは違って、我々が焦点を合わせているのは、日本に何をもたらすことができるのかだけではなく、日本を世界に見せることです。これこそが、IR2.0のコンセプトです」と同社はIAGに語 った。
「当社は和歌山県の特徴に焦点を当て、これまでのIRモデルとは異なる、地域の歴史的伝統や、自然の景観、地域文化をすべて統合した世界初のIR2.0を構築する予定です。
IR2.0は、事業者が進んで市場に何かを提供しようとするものではなく、むしろ現地の文化に注目し、その地域ならではの特徴と長所を世界に示すことです。
和歌山県は独特の天然資源、豊かな文化的、歴史的、伝統的な特徴を持っています。サンシティグループは、16か国の26都市に事業を拡大しています。さまざまな国のIRに関する深い調査と理解があります。
当社は、リゾート管理における独自の資源、ネットワーク、強みや経験を活かし、多彩な和歌山県を世界に示すことができると確信しています」
2020年4月30日の締め切りまでに和歌山県の提案依頼(RFP)に申請したわずか2社のうちの1社であるサンシティは、和歌山県IR2.0の設計は、地域に密接に関連する3つのコンセプトに基づいていると説明している。1つ目は和歌山城をあしらった「城」、2つ目は、日本最古の和歌集である万葉集で詠まれている和歌の浦 (現在の和歌山市北西部)などの風景を再現した「六義園」(江戸時代に現在の東京都文京区に造られた)を模して造られる「庭園」、そして3つ目は、和歌山県IRの候補地であるマリーナシティに絡む 「港」である。サンシティによれば、この狙いは、江戸時代1603年か
ら1868年にかけて東京と周辺の県を結ぶ日本の5つのルートの重要な港のひとつであったこの地域を復興させることであるという。開発された場合、サンシティの和歌山複合観光施設は、2,600室の客室とヴィラ、レストラン、スカイラウンジ、温泉とスパ、充実した展示会場、屋内スポーツ施設、近くの海岸沿いの町や観光名所へのボートツアーを提供するだろう。
同グループは昨年10月、国際的建築事務所のアエデス アーキテクツによる設計のIR施設に300億香港ドルから350億香港ドル(38億7,000万米ドルから45億2,000万米ドル)の予算を発表した。
「他の競合企業は以前にやったことを複製しています」とサンシティは述べている。
「我々は単にIRを建設してるのではなく、エンターテイメントと日本の文化を融合しています。
様々なハードウェア施設を建設することに加え、サンシティグル ープは、和歌山県を近代的なエンターテイメントと伝統文化が融合する場所へ変えるでしょう。
当社は、マカオでの映画制作や大規模なコンサート、象徴的な芸術イベントにおけるこれらの豊富な経験で和歌山県に取り組み、地域の伝統的な特色と融合を図りたいと考えています。
文化的風情の再形成と活性化、強化を図るため、和歌山県でさまざまなエンターテイメントイベントやパフォーマンス展示会を開催し、和歌山県ならではの魅力を国際舞台で発信していきます」
サンシティグループのアルヴィン・チャウ最高経営責任者(CEO)は、昨年IAGに2021年の日本の最初の入札の後で、横浜、大阪、和歌山の3候補地それぞれが交付予定であるライセンスを獲得できることを期待していると語った。MGMが大阪と提携する可能性が高まっているように見え、マカオの定評ある事業者が横浜に進出することを決めたため、和歌山県はサンシティの高まる野心にとって魅力的な選択肢として浮上した。
特に、同社は和歌山県の立地(関西国際空港から車で約45分、大阪から1時間)を優れたセールスポイントとして捉えている。
「和歌山県は文化パフォーマンスとエンターテイメントの中心地として、大阪はさまざまな施設とコンベンションや展示会のサポ ートを備えた都市として、これら2つの都市は関西地域全体の発展の重要な原動力となり得ます」 と述べている。
チャウ氏はこれを「大関西圏の相乗効果」と呼んでいる。
「サンシティは、和歌山県IRが年間約500億円の税収を生み出し、建設業と事業運営を通して最大2万人を雇用するだろうと見込んでいます。同グループは、地元の中小企業と協力して資源を調達することを約束し、確立された高級会員制により、日本の観光産業の生命線である東アジアの旅行者からの訪問を増やすことができます」と述べている。
「我々は東アジアの旅行者の好みと消費パターンを完全に把握し、適切な製品とサービスを提供することができます」とサンシティは言う。
「同社の子会社『サントラベル』は、周辺地域と協力して、和歌山県に焦点を当てた独特で最高級の観光商品を作成し、地域発展を促進するための独自の販路を通してそれらを宣伝することができます」
その間、サンシティは和歌山県の運命を知るのにただ待っているわけではない。昨年9月に同グループは、沖縄の土地の108,799平方メートルの土地を主要資産とする地元企業であるMSRDコーポレーション社の51%の株式を購入した。
現在、畑、農地、公道で構成されているこの土地は、最終的に、2023年にオープン予定で、100室のホテル客室と40棟のヴィラに独自のプールを備えたミヤコ・アイランド・リゾートホテルとなる。白い砂浜とサンゴ礁で有名な日本の宮古島近くに位置するこの開発は、「顧客の好奇心を増幅させること」で、サンシティの和歌山県IRの補完的役割を果たすよう設計されている。
「我々は、日本でのビジネスをさらに発展させるためのあらゆる潜在的機会を受け入れます」とサンシティは明らかにし、日本は今や、当社の長期的な事業拡大の取り組みの非常に重要な鍵であることを明確に述べている。