このシリーズの最初の2つの記事は「完全に」先行き真っ暗なものだった。一方でこの記事は「大部分が」先行き真っ暗。著しく改善している!
世界のほぼ全ての会社が多かれ少なかれ新型コロナウイルス感染症による影響を受けている。今まで経験したことのない世界経済の崩壊によって、大半の企業が収益を失っている。しかし注目に値する例外というものもある。
収益への直近の影響をベースに、企業をおおまかに4つのカテゴリーに分類した。
勝者増収した企業
ごく稀で少ないものの、非常に素晴らしい例がある。Zoom、Cisco WebexそしてSlackといったビデオ会議およびオンライン生産性プラットフォームだ。1月下旬以降、Zoomの時価総額は倍以上の350億米ドル(約3兆7,711億円)となっている。他の勝者には電子商取引ビジネスがある。すでに世界で最も裕福な人物であったアマゾンの創業者、ジェフ・ベゾス氏は今年これまでに純資産におよそ240億米ドルを加え、その資産は1,390億米ドルにのぼっている。
「小さな」敗者収益が最大2割減少した企業
そのビジネスの性質が原因ではなく、経済活動の一般的な減少によって影響をうけた企業がある。生活必需品を販売する企業がこのカテゴリーに該当する。食料品、基本的な衣料品などの消費財や電気・ガス・水道などを販売するビジネスがそれに当たる。
「大きな」敗者収益が2割から5割減少した企業
これらの企業にとってはつらいことだが、世界的なロックダウンが終了すればすぐに好転する可能性が高い。石油およびガス企業が良い例だ。人類の3分の1が基本的に外出制限状態に置かれていることで、世界の輸送サービスが大幅に減少しているが、かなりのスピードで回復するはずだ。
「壊滅的な」敗者収益が5割以上減少した企業
いわゆる「BEACH」株。Booking(予約)、Entertainment/live Event(エンタメ/ライブイベント)、Airline(エアライン)、Casino/Cruise(カジノ/クルーズ)、そしてHotel(ホテル)/。その商品のまさしく本質の部分が新型コロナウイルス以後の世界では受け入れ難いものだ。そこには移動または大勢での集会、しばしばその両方が含まれる。これらは、政府と医療専門家が、社会的距離の確保、航空機着陸の受け入れ停止や国境閉鎖などを通じて我々にますます回避を要請、または強制しているまさに2つのことだ。 これまでに送られたメッセージは明確だ。移動や混雑は危険、致死的でさえある。このメッセージは一晩で忘れ去られるようなものではない。
IRはカジノ、ホテルそしてエンターテイメントの集合体だ。その3つ全てがBEACH商品であるために、最悪の状況と言える。この先には、長く遅い回復がある。
しかし今、物悲しい叫びが聞こえる。「累積需要はどうなんだ?!閉じ込められてストレスが溜まった自称旅行好きの人たちが営業再開と同時に流れ込んでくるのでは?」 もちろん、数週間はそういった部分もあるだろう。しかし、全体的な旅客数が2019年の水準まで着実に戻るのは、(a)経済が回復し、(b)ウイルスの恐怖が(ほぼ)無くなった頃になるだろう。
ただ、この長くて暗いトンネルの先には光がある。人類というのは群をつくる習性があり、外に出るのが好きで社交的、そして遊び好きの生物だ。幸せな日々は必ず戻ってくる。ただ、まだもう少し先というだけで。
前回:『COVID以後の世界2:我々が生きる時代で最大の変化をもたらすビジネスショック』
次回:COVID以後の世界4