近鉄グループホールディングス(HD)は25日、グループ会社の三重交通グループホールディングス(津市)社長の小倉敏秀氏(64)が社長に就任する人事を発表した。吉田昌功社長(67)は子会社の近鉄不動産(大阪市)の会長に就く。小林哲也会長(76)は続投する。6月の株主総会後の取締役会で正式に決める。社長交代は2015年4月以来5年ぶり。毎日新聞が伝えた。
商機と位置付ける25年大阪・関西万博や、大阪誘致が現実味を帯びるIR事業を見据え、新体制で成長を目指す。
小倉氏は大阪市で記者会見を開き、新型コロナウイルスによる業績悪化に触れた上で「難局を乗り越えて斬新なビジネスを展開し、強い近鉄グループを築きたい」と語った。
万博やIRを巡っては、会場となる大阪市の人工島・夢洲への延伸計画がある大阪メトロへの乗り入れを視野に、新型特急車両の検討を進めるなどしている。
計画では近鉄奈良線と近鉄けいはんな線が乗り入れる生駒駅(奈良県生駒市)付近に両線をつなぐ「渡り線」を新設。これにより、奈良からはもちろん名古屋や伊勢志摩方面からも乗り換えなしで夢洲への送客が可能となる。小倉氏は「大きく生まれる需要をどう事業につなげるかが課題だ」と強調した。