長崎県と佐世保市が誘致を目指す、IR(カジノを含む統合型リゾート施設)の整備を想定し、長崎国際大(佐世保市)が、人間社会学部国際観光学科に「IRマネジメントコース」の新設を検討していることが分かった。ギャンブル依存症対策なども研究対象にしており、新たな学科の設置も検討している。地元紙の長崎新聞が伝えた。
IAGの取材に対して県の担当者は「県が昨年10月、長崎県内の大学に『国際観光人材育成の協力』を要請した」と語ってくれた。今回、これを受けた(大学の1つである)長崎国際大学が学内に検討委員会を設置。検討委員会が議論を重ね方針を決定した。現在、国内の大学にはIRに特化した専門の学科は無く、同大学で日本初の学科開設を試みる。前述の県担当者によると「IR関連学科は2022年開設をめどとしているが、IR関連の授業は今年の4月から開始すると聞いている」とのことだ。
長崎県は近年、インバウンド(訪日外国人観光)客が増加しており、2016年度には外国人宿泊者が延べ70万人を超えている。長崎県が目指す将来像の実現にチャレンジするための県政運営の指針として策定された「長崎県総合計画チャレンジ2020」の一環として、2020年には外国人宿泊者数延べ100万人を目指して取り組んでいる。県の大学側への要請は、IR誘致に成功した場合の専門職の雇用を見据えてもいるが、増加するインバウンド客をもてなす県内の観光産業で働く若い人材を確保することにより、毎年約1万人ほどの止まらぬ人口減少にどうにかして歯止めをかけたいという思惑も強く見て取れる。