東京地方裁判所は、日本の「カジノ王」、岡田和生氏に対して、同氏が創業し、以前会長を務めていた株式会社ユニバーサルエンターテインメントに2,129万3,712円の損害賠償を支払うよう命じる判決を下した。
岡田氏に対して上記金額に対する平成29年12月29日から支払い済みまで年5分の割合と訴訟費用の支払いも求めるこの判決が下されたのは、岡田氏が同社に対して3件の不正行為を行なっていたことが判明したユニバーサルの社内調査を受けて最初に訴訟が提起されてから2年以上が経過してからのこととなる。
ユニバーサルは当時、「岡田氏が行なった3件の不正行為に関して、同氏の当社取締役としての任務懈怠により当社が被った損害の一部について、損害賠償請求を行うもの」と述べていた。
問題の3件の不正行為は、(1)2015年に岡田氏の関与の下、個人的な用途の資金に充てるために無利子・無担保でユニバーサルの子会社であるTiger Resort Asia Limited (以下、TRA)から第三者に1億3,500万香港ドルの貸し付けを行なったこと、(2)TRAから無許可で名宛人無記名の1,600万香港ドルの小切手を振り出したこと、(3)個人的な利益を図る目的で、韓国の統合型リゾートプロジェクトの土地購入の事業主体を、TRAの子会社であるUE韓国から自身が100%所有するOkada Holdings Korea co.、ltd(以下、OHL韓国)に変更したことだった。Okada HDはその後、OHL韓国が韓国の土地を購入するための頭金を捻出するために、UE韓国の預金を担保として提供させて8,000万米ドル(約88億4,662万円)を借り入れ、さらにその利息および手数料に相当する17万3,562.23米ドルを経営コンサルタント料の名目でUE韓国に請求した。
TRAは、今でも創業者の名前を冠するフィリピンの統合型リゾート「オカダ・マニラ」を運営するタイガーリゾートレジャーアンドエンターテインメントインクの過半数株主。
今週東京地裁の判決の詳細を発表したユニバーサルは、「本判決は、本件不正行為が岡田氏の指示の下に行われたものであることを認定した上で、岡田氏に、当社の取締役としての善管注意義務違反ないし忠実義務違反があったと認めた」と述べた。
岡田氏は、別居中の妻である幸子氏と息子の知裕氏が反対派に回った2017年6月の株主投票の後で、ユニバーサルの会長を解任され取締役の座を追われていた。