マカオにある4社の米上場事業者、ラスベガス・サンズ、ウィン・リゾーツ、MGM、そしてメルコリゾーツが、新型コロナウィルスによる訪マカオ旅客数減少の結果としてキャッシュフローへの20億米ドル(約2,166億円)もの打撃に直面する可能性があると格付機関フィッチが指摘した。
しかしながら、4社には充分な借り入れ余力があり、今後12カ月間に大きな返済がないことから、余裕をもってそのような影響に耐えることができるはずだ。
金曜にマカオのゲーミング業界への評価を発表したフィッチは、このアジアゲーミング中心地のゲーミング粗収益への影響は、新型インフルエンザの流行によってGGRが第1四半期に17%、第2四半期に16%減少した2009年よりも大幅に大きくなる可能性が高いと警鐘を鳴らし、その理由に当局による広範囲の旅行制限の実施が早かったことを挙げた。そのような旅行制限が、旧正月休暇7日間の旅客数78.3%もの激減につながった。この時期は従来、マカオのカジノにとって毎年最も利益の多い時期の1つとなっている。
フィッチは、「2019年新型コロナウィルスによるマカオゲーミング事業者のキャッシュフローへの影響は、ウィルスの感染拡大と、地方政府による予防措置が続くことによって、大規模になるだろう。2020年第1四半期と第2四半期のマカオからの収益がそれぞれ50%と25%減少すると仮定すると、事業者4社のキャッシュフローには合計で20億米ドルの影響が出るだろう。それに対してフィッチは以前、現状の2020年シナリオの下でおよそ110億米ドルのEBITDAと13億米ドルのFCFを予想していた。この20億米ドルのキャッシュフローへの影響というシナリオは、事業者たちの費用構造を考慮に入れ、さらに、50%という減収がEBITDAへと伝わっていくことを想定している」と述べた。
しかしながら、「フィッチが取り上げたカジノ事業者の堅実な信用力評価によって、事業者たちはこの圧力に持ちこたえられるはずだ。厳しいシナリオの下で、マカオで展開する米上場のゲーミング事業者4社全社には、旅客数減少による潜在的なFCFへの影響に持ちこたえられるだけの充分な流動性がある。全社に、余力のある流動性へのアクセスがあり、2020年に大きな返済がない。前例がないほどに長引くことがない限り、2019年新型コロナウィルス大流行が広範囲の格付け引き下げにつながるとは予想していない」と述べた。