中国が個人訪問スキーム(Individual Visit Scheme)の一時停止を発表し、新型コロナウィルス拡散防止を狙いにしたこの最新の非常措置によって、基本的に中国大陸からマカオへの個人旅行はできなくなる。
大きな打撃となったSARSの大流行の後に、マカオおよび香港への観光客を増やすために2003年に導入された個人訪問スキーム(IVS)は、この2つの特別行政区を訪れる中国大陸からの旅客の間で、最も一般的に使用されるビザの1つになり、2019年には訪マカオ旅客全体の47%を占めていた。
しかしながら、マカオの張永春行政法務長官が火曜夜の記者会見で発表したIVSビザの一時発給停止という中国の決断によって、中国人訪問客には、出張または家族との旅行以外にほとんど選択肢が残されていない。
このニュースは、1年で最も忙しい時期として毎年旧正月に期待を寄せてきたマカオの事業者たちにとってまた一つ大きな痛手となっている。投資顧問会社のバーンスタインによると、旧正月は年間GGRの約5.5%を占めており、1月と2月の合計は年間GGRの最大17%を占めるという。
春節ゴールデンウィークの旅客数は4日目も減少し、マカオ政府観光局が発表した数字によると、月曜は前年比84.1%減の36,092人となり、4日間の合計は194,521人、前年比での減少幅は69.0%にのぼっている。
その中で、中国大陸からの旅客は111,723人へと75.1%減少し、4日目には20,174人へと88.5%もの減少となった。
JPモルガンのDS・キム氏、デレク・チョイ氏そしてジェレミー・アン氏は、火曜のレポートの中で、「影響を評価するのはイライラするほどに難しい。というのも、それはこの一時停止がいつまで続くのかによるからだ(それはウィルスの今後の状況によって決まる)。IVSの一時停止自体が続いている間は、30%を上回る幅(マスの方が比較的大きな影響を受けるものの、VIPとマスの両方)でGGRに打撃を与えたとしても驚かない。そして1月だけでなく2月のGGR予想にも大幅なマイナスが見られている」と述べた。
当局もまた、マカオと香港間の主要フェリーサービスの一時停止、または便数削減を発表している。1月30日から、マカオにあるアウターハーバーおよびタイパフェリーターミナルから香港の屯門および九龍フェリーターミナルへのサービスが一時停止となり、同時にマカオと香港国際空港及び上環ターミナル両方を結ぶフェリーは便数削減が予定されている。
その一方で、マカオのゲーミング規制当局は昨夜、マカオにあるコンセッション保有6社と火曜に会合を持ったことを明かし、その場で大陸の住民が各日午後10時までにボーダーゲートを通ってマカオを出ることができるよう従業員の勤務シフトの調整を指示した。Inside Asian Gamingが以前に伝えた通り、拱北ボーダーゲートは一時的に閉門時間を午前1時から午後10時に早めている。
大陸に住む従業員が午後10時以降に仕事を終えた場合には、事業者は「適切な車両」を用意して、ロータスポート経由で従業員を家へと送り届けなければならない。
マカオのゲーミング規制当局、DICJは、「マカオ政府は、政府、企業、そして住民が協力して感染症の拡大を防止しなければならないと強調している。6社の大手事業者は、政府の決定に協力し、直ちに前述の関連対策を実施し、社会的責任を果たしていく」と述べた。