マカオ政府は、火曜に52歳の中国人女性が入院したことを受けて、マカオ内で初めて武漢の新型肺炎ウィルスの感染例が確認されたことを発表した。
武漢出身のこの女性は、日曜に珠海拱北ボーダーゲート経由でマカオに入境し、その後ニューオリエントランドマークホテルへと移動した。女性は、体調不良を訴え、48時間後に病院で治療を受ける前は、大半の時間を同ホテルで過ごしていたと伝えられている。
新型コロナウィルスによる肺炎で、死者は9人、患者は450人以上に上ったと伝えられている。2000年代前半に流行したSARSによる死者は774人だった。そんな中、アジア全土の政府機関が今週、渡航に関する危険情報を出しており、マカオ初の感染のニュースは、ピークシーズンである中国旧正月を前にカジノ事業者にとっては最悪のタイミングとなった。
Inside Asian Gamingが以前伝えた通り、今週ゲーミング株はすでに打撃を受けており、マカオのカジノ事業者6社全ての株価が下落し、月曜には24時間以内に香港に上場する5銘柄全てが5%以上値を下げていた。
投資顧問会社のサンフォード C バーンスタインのアナリストは今週、マカオのゲーミング業界に長期的にマイナスの影響が出る可能性は低いと予想した一方で、(マカオで初の感染例確認のニュースが流れる前に)彼らは警鐘も鳴らしており、「流行が拡大した場合、旅行にマイナスの影響が出る可能性が高く、マカオへの旅客数は減少し、それに伴ってゲーミング業界の回復に影響が出る。
現在までのところ新型コロナウィルスの影響は抑えられている一方で、旅行に影響が出始める大規模感染は、(少なくとも短期的には)マカオ株にとってマイナスとなるだろう」とバーンスタインのヴィタリー・ウマンスキー氏、ユーニス・リー氏そしてケルシー・ヂゥー氏は述べた。
彼らはまた、現在の状況と2003年のSARSの大流行とを比較した。当時、マカオへの旅客数は前年比で34%急減し、2003年4月に入ってWHOが世界的な旅行勧告を出したことで4月のGGRは前月比38%の減少となった。しかしながら、アナリストたちはGGRが夏までに素早く回復したこと、そしてたった11のカジノ(全てをSJMが運営)しかなく、年間訪問客数は1,190万人のみだったことなど、「マカオがその当時はかなり状況が異なっていた」ことを考えると、現在との比較は危険だと述べた。
マカオでの新型コロナウィルス初感染例というニュースに対応して、JPモルガンのDS・キム氏、デレク・チョイ氏、そしてジェレミー・アン氏は以下のように述べた。「1年で最も忙しい時期である中国旧正月の直前ということで、タイミングが残念だ。これが今後数週間、数カ月間にギャンブラーの感情にどう影響するかを静観しなければならないだろう。ホテル/ジャンケットに関して旧正月中の大規模キャンセルというのはまだ聞こえてきていないが、ピーク需要は、来週(1月27日または28日)からしか始まらないために、まだ今は分からない。参考のために、旧正月中のGGR(1週間後の末尾のVIP需要を含む)は年間を通じたGGRの約5%(または訪問客数の約3%)を占めている」