方針変更だ。松井一郎大阪市長は13日、大阪府・市が誘致を目指すIRについて、2025年国際博覧会(大阪・関西万博)の終了後の全面開業を容認する考えを明らかにした。日本経済新聞などが伝えた。これまではIRと万博の相乗効果に期待し、万博が開幕する25年春までのIR開業を目指してきたが、事業者から工期の短さを懸念する声が出ていた。
府・市関係者によると、月内に示す事業者の公募条件で、26年度の全面開業を認めることを明記する方向で調整している。
松井市長は13日の定例記者会見で「事業者の懸念に答えを出せていない状況」と説明。「今の時点で25年春(の開業)をあきらめる必要はない」と強調しつつ「(事業者と)一緒に仕事をしていく中で、一方的に無理な条件を並べてもパートナーとは呼べない」と述べた。
IRはカジノ、国際会議場、展示施設、宿泊施設などが一体となった観光施設。IR実施法は、カジノとともに中核5施設が完成していることを開業の条件としており、各施設が満たすべき収容人数や面積などの基準を定めている。
一方、府・市は国の基準を大きく上回る大規模施設の建設を求めており、大阪参入を検討する事業者から「今すぐ工事を始めても万博に間に合う保証はない」といった不満が出ていた。
府・市関係者によると、公募条件では▽まずは国の基準を満たす施設のみを完成させる一部早期開業▽当初から府・市が求める基準をクリアする全面開業――など様々なパターンの提案を認める方向で検討しているという。
府・市は11月に公表した実施方針案で「万博前の開業を目指す」とした。24年度開業を義務付けるなど条件を厳しくすれば事業者が撤退するリスクがあるためで、吉村洋文知事は「どこも公募に応じなくなったら意味がない」と指摘していた。