既報の通り、北海道に統合型リゾート施設(IR)誘致の是非に関して、鈴木直道北海道知事は11月29日、2021年7月までの国への認定申請を断念する方針を表明した。
道は、開業時の投資額が2,800億〜3,800億円、施設全体の年間売上高を1,500億円超と試算。北海道の経済活性化や少子過疎化対策への起爆剤としての期待も大きかったが故に、誘致に積極的であった苫小牧市や地元経済界からは落胆や疑問の声が上がっている。
地元紙の北海道新聞によると、岩倉博文苫小牧市長は同日市役所で行われた記者会見で、知事の決断を受け「非常に残念だし…どうしてかな、という思いがある」。また、知事が「区域認定までに環境への適切な配慮を行うことは不可能」という点を判断理由の1つに挙げたことに対し「環境だけなら、いかようにでもなる」と述べた。観光資源を生かし訪日外国人らの集客を図る同市の成長戦略「国際リゾート構想」は取り下げない方針。
地元経済界の落胆も大きい。同紙によると、苫小牧統合型リゾート推進協議会の藤田博章会長は「ここにきて見送りというのは納得いかない」。知事が今後に含みを持たせたことを受け「引き続き誘致活動に取り組む」と述べた。苫小牧商工会議所の宮本知治会頭も「IRの必要性を道民にしっかりと理解してもらい、またチャレンジしていく」と話した。
なお、統合型リゾート(IR)開発候補地の近隣で大規模リゾート開発を計画していたMAプラットフォーム(東京・港区)は同日、開発は予定通り実施すると明らかにしている。