北海道の鈴木直道知事は29日、統合型リゾート施設(IR)の誘致見送りを表明した。多数のメディアが報じた。
鈴木知事は「熟慮の結果、IR誘致に挑戦したいとの思いに至った」と述べたが「候補地は希少な動植物が生息する可能性が高く、限られた期間で環境への適切な配慮は不可能」と今回の見送りの理由を説明した。
優先候補地であった苫小牧市議会は10月に誘致を推進する決議案を可決。また、北海道経済連合会など道内の経済団体もIRの誘致表明を求める「緊急共同宣言」を道に提出していた。しかし、道議会では自民党系の最大会派内でも是非が割れ、事実上、会派内での意見集約を諦めた。これは、もし知事が誘致を表明しても議会で可決されるかが不透明な状況に陥ったということである。多くの希少な動植物の生息する候補地の環境アセスメントに関しても「通常3年はかかる」とし、申請期間には間に合わないという懸念も出ていた。先日、道が行なった道民を対象とした3手法でのアンケート調査では、誘致に対する不安度が期待度を上回る結果となったものも多く、それらを受け知事は今回の申請見送りを決めた。
北海道IRには、ラッシュ・ストリートやモヒガンゲーミング&エンターテインメント、ハードロックインターナショナルなどの事業者が名乗りを上げていた。
最大3地域が認定されるIR誘致レースは、国の調査に対し誘致の表明や興味を示していた当初の8地域から、残るは7地域となった。有力候補地の1つと目されていた北海道の離脱により、他の地域にも少なからず影響が出てくるとみられている。