厚生労働省は20日、ギャンブル依存症の治療を公的医療保険の適用対象とする方向で検討に入った。この日の中央社会保険医療協議会で提案された。来年度の診療報酬改定に向けて結論を出す方針。東京新聞などが報じた。
今後、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致が進む中で、2018年7月に成立、同年10月に施行された「ギャンブル等依存症対策基本法」に基づき、依存症対策を強化していく考えだ。
しかし、依存症の治療に国民の税金や保険料が投入されることに対しての反発も予想される。現在、ギャンブル等依存症治療の保険適用はないが、日本医療研究開発機構(AMED)の研究チームが開発した集団治療プログラムの効果などを受け、保険適用を検討している。薬物依存症の治療では既に公的医療保険が使える。
ギャンブル等依存症は、病的にギャンブルにのめり込む精神疾患であり、患者は年々増加傾向にある。厚労省によると、2014年度の2,019人であった患者数は17年度には3,499人に増加している。現在ギャンブル依存症患者の大半はいわゆるパチンコ依存症である。
IR誘致を考える自治体や入札に参加する事業者にとっても、地域住民のIR誘致への理解を促す上で、ギャンブル依存症問題は避けては通れない重要な課題となっており、住民説明会などを通しての啓蒙活動や、具体的な対策への取り組みに関する説明がさかんに行われている。