社長兼最高執行責任者
ラスベガス・サンズ
パワースコア: 2,668
昨年の順位: 8
評価理由
• シェルドン・アデルソン氏の国際代理人であり執行者
• ラスベガスとマカオで主要施設のオープニングを監督してきた
ひょっとして、ロブ・ゴールドスタイン氏がラスベガス・サンズ(LVS)で担う役割が2019年に増大していることは同社の未来へのヒントを示しているのか?
同社は3月、86歳のシェルドン・アデルソン氏が非ホジキンリンパ腫の治療を受けていることを明かした。会長兼CEOの同氏が病気のために今年、LVSの日々の業務への関与を制限してきたことで、ゴールドスタイン氏とアデルソン氏の義理の息子であるパトリック・デュモン氏がその空いた隙間を埋める役割を任せられた。
そして創業者の不在にもかかわらず、ゲーミング世界大手の同社にとって事業は通常通りに進み、19年第2四半期の純収益は前年比0.9%増の33億3,000万米ドル(約3,604億円)、そして営業利益は12.2%増の8億9,400万米ドルにのぼった。
2019年、LVSの世界への野望は明らかにペースダウンしていない。4月、LVSはシンガポール政府観光局と合意に達し、大成功を収めるシンガポールIR、マリーナベイ・サンズの33億米ドルの拡張に乗り出すことが決まった。さらに最近になって、大阪でのIRレースから撤退し、東京または横浜でライセンス獲得を目指す意思を正式に表明し、日本での目標を明確にした。そしてマカオの子会社であるサンズ・チ ャイナは、多くの開発前線で積極的に動いている。
22億米ドルをかけてサンズ コタイセントラルを、ザ ロンドナー マカオへと変身させる工事は順調に進んでいる。ザ ロンドナー マカオはサンズ・チャイナにとって3つ目となるテーマ型マカオリゾートで、イギリスの有名ランドマークの縮小レプリカに加えて6,000人収容のアリーナ、イギリス風のショップやレストランが入り、ゲーミングテーブル60台とスロットマシン300台が追加される予定だ。
サンズコタイセントラル改修の中心にあるのが、ホリデイイン マカオコタイセントラルの1,200室を594室の高級オールスイートサービスに変更することだ。これは大きな利益を生み出すプレミアムマス市場をターゲットにしている同社の長期計画の一環となる。それを念頭に置いて、サンズ・チャイナはすぐ近くのザ ベネチアンにあるフォーシーズンズ ホテル マカオをハイエンドの施設に改修する工事も進めており、秋にかけて約290室のスイートの第一弾がサービスを開始する。
サンズ・チャイナの第2四半期業績発表でプレミアムマスへの野望を話したゴールドスタイン氏は、アップグレードが同社を「将来的に優位な位置」に置いてくれると述べた。同氏は、マカオGGRの中でのシェアがコンセッション保有6社の中で一番大きい23.3%となっているにもかかわらずこのような発言をしている。
ゴールドスタイン氏は「我々はマカオで圧倒的に大きなベースのマスビジネス、(中略)そしてマカオ最大のプレミアムマスビジネスを持っている。マカオは質の高い商品と規模に対して利益を与えてくれる。そして我々は非常に優れたプレミアムマスプレイを推進できる商品を持っている。我々はベースマスプレイを支配するのと同じやり方でこのセグメントを支配するつもりだ」と語った。
1995年にラスベガス・サンズに加わる前にはアトランティックシテ ィのサンズホテルでマーケティング部門の副社長を務めていたベテランのゴールドスタイン氏は、LVSが世界のゲーミングのトップに昇り詰めるまで長年第一線に立って戦ってきた。
同氏は、LVSの旗艦施設であるザ ベネチアン ラスベガスのオープニングを見届けた幹部陣の一員で、1999年の開業に際して同施設最初の社長兼最高執行責任者となり、2007年にパラッツォがオープンした時には、そこでも仕事を任され、後の2011年1月に国際ゲーミング事業部門の社長へと昇進し、ゴールドスタイン氏はLVSが業界最大の多国籍企業へと成長するための先導役となった。
それから8年、ゴールドスタイン氏は今でもラスベガス・サンズを前へと進め続けている。