会長兼CEO
ラスベガス・サンズ
会長兼CEO
サンズ・チャイナ
パワースコア: 7,762
昨年の順位: 1
評価理由
• 86歳という年齢で、非ホジキンリンパ腫の治療を受ける中、なおも会社の重要事案には関与している
• アジアトップのゲーミング市場であるマカオとシンガポールでトップを走る
• 当時沼地であったコタイをラスベガス・ストリップのマカオ版にするという構想を描いた
• コンベンション主導型IRモデルの手本となる象徴的なマリーナベイ・サンズを建設
普通の状況であれば、アジアゲーミング界でのシェルドン・アデルソン氏の地位を評価するのはもっと簡単だっただろう。しかしラスベガス・サンズは、2月28日に現在86歳のアデルソン氏が非ホジキンリンパ腫の治療を受けていること、そして3回連続で業績報告を欠席したことを公表したことを受け、 同社の3Q19コールに戻ったにも関わらず そこに不確実性が生まれている。
アデルソン氏がアジアトップのゲーミング帝国を築いてきたことに何の疑いもない。今年は45億米ドルのEBITDAに向けて順調だ。そして彼が会社を掌握していることも間違いない。LVSとマカオの運営子会社、サンズ・チャイナの会長兼CEOの役職に就き、妻のマリアム・アデルソン博士はLVSの過半数株を所有している。シンガポールでは、アデルソン氏のチームが、絶対にうまくいかないと主張するストリップ支持者たちの声に負けずに、ラスベガスに彼が開発したコンベンション主導型の統合型リゾートモデルを実施している。
マカオの当局者たちが、ベネチアン・マカオの建設地としてコタイを提案したとき、その場所は誰も欲しがらない水浸しの荒野だった。しかしアデルソン氏はマカオのその当局に、その土地を渡してくれ、そして開発すると伝えた。他のカジノライセンス保有者は誰も参入したがらなかった(ただし、メルコにザ ベネチアン マカオの向かいのシティー オブ ドリ ームスの土地を獲得させたと言われているローレンス・ホー氏を除いて) 。そして今、最高の立地を独占する3つの巨大なコタイリゾート、そして全ての競合他社を合わせても追いつかない数のホテル客室数を持っていることで、サンズは定期的にマカオのゲーミング市場で最大のシェアを占め、非ゲーミング収益カテゴリーと利益を絶対的に独占している。
LVSは、同社に合わせて作られているように思える規制がある日本IRへの積極的な取り組みも続けている。同じようなカジノ面積の制限、住民への入場税、そしてジャンケットプロモーターの不使用という状況の中で、LVSは象徴的、かつ並外れて大きな利益を生み出すマリーナベイ・サンズを作り上げた。日本のルールはまた、各IRに10万平方メートルのMICEスペースを含めること、そして日本の他の地域への観光を促進することを定めており、旅行ビジネスにあるアデルソン氏のルーツの強みを活かしている。
アデルソン氏の非ゲーミング事業での大胆さは、間違いなくIRのゲ ーミング以外の要素全てを強調したい日本の当局の心に響く。ザ ベネチアン マカオは、当時マーケット全体に存在していた小売りスペースの2倍以上の広さの小売スペースと共にオープンした。同氏はその巨大なMICEスペースと15,000人収容のアリーナが同じように新たな需要を生み出すと想像した。
LVSはアデルソン氏が今も大きなビジネス上の決定には関与していると話す。しかしながら、退行性筋疾患神経障害との18年間の闘病と高齢に、さらにがん治療が加わったことで、長引くアデルソン氏の不在中に同社が成功できるのかという疑問が出てくる。だが、過去の実績はそれが可能であることを示している。
2001年7月に神経障害がアデルソン氏を襲い、その後6カ月間は薬のせいで、アデルソン氏の言葉でいう「少しオバカ」になった時、LVSはそれでもなお、ほぼ間違いなく会社の歴史の中で最も重要なイベントであったマカオのカジノコンセッション獲得を成功させた。アデルソン氏の代理人たちは、投資パートナーを見つけ(9/11の後、LVSは入札に必要な5億米ドルの銀行保証をかき集められなかった)、マカオにLVSモデルを売り込んだ。マカオがそのパートナーに反対した際、LVSはコンセッションを確保するためにギャラクシー・エンターテインメント・グループとチームを組んだ。
アデルソン氏が回復した後、もっと大きくもっと素早く建てる譲らないスタンスのせいでギャラクシーとのパートナーシップは物別れし、そして頑なな瀬戸際政策でサブコンセッションを手に入れ、LVSは独立して運営できるようになった。その歴史を別の視点で解釈することもできる。LVSはアデルソン氏なしでも成功ができるという見方だ。現社長COOのロブ・ゴールドスタイン氏は能力ある兵士の群を率いている。しかし、並外れた偉業を達成するには常駐する先見の明を持った人物が必要だ。