11月3日、北海道苫小牧市のIR誘致反対派市民グループ「カジノ誘致に反対する苫小牧市民の会」が市内で総会を開催し、120人あまりが参加した。総会では、駒沢大学の姉歯暁(あねは あき)教授が講演し、カジノの負の側面を強調した。
同グループは先月25日、誘致反対の署名約2万筆あまり(内、苫小牧市民は6割程度)を市に提出しており、「他人の不幸を踏み台にする施設は不要」「子どもの未来にカジノはいらない」などと訴えていた。市役所に署名の提出に赴いた同団体共同代表の篠原昌彦氏(苫小牧駒沢大名誉教授)は、ギャンブル依存症などを理由にIR誘致反対の意向を伝えた。対応にあたった福原功副市長は「懸念に対してはしっかりと対策を進めたい」と述べた。
11月6日には、IR誘致の賛否を問う住民投票の実現に向け、市民グループ「IR苫小牧の住民投票をめざす会」が、市民説明会を苫小牧市高砂町の正光寺で開催する予定だ。しかし、苫小牧市の住民投票条例によると、住民投票は「署名活動開始から1ヵ月内に住民投票有資格者の4分の1以上の署名を集め、市長に住民投票を要請」しなければならない。同市の住民投票有資格者は約14万5千人, その4分の1となると約3万6千人にも及ぶ。なかなかにハードルは高い。
一方、IR誘致推進派の地元経済4団体は先月21日、「北海道でのIRの実現に関する緊急共同宣言」を発表し、鈴木直道知事に誘致への早急な決断を促した。
苫小牧市議会は先月28日、臨時会を開き、IR(統合型リゾート)誘致関連経費約1,800万円を盛り込んだ2019年度10月補正予算を賛成多数で可決している。