10月29日、メルコリゾーツ&エンターテインメントは、日本に焦点を当てた270億円規模のホスピタリティ投資ファンド「メルコ・クリエイティブ・エクスチェンジ」(MCX)を立ち上げたことを記者発表会で発表した。IRだけではなく、「プレミアムな」ホスピタリティ、レジャー、エンターテイメント施設の開発・運営を通じて日本の地域経済の活性化を支援することが目的。
同社のローレンス・ホー会長兼最高経営責任者は「私たちが過去15年を費やしてきた経験と関係性は、日本政府が掲げた課題(外国人訪問者数を2020年には4,000万人、2030年には6,000万人を目標とする)に対して重要かつ持続可能な影響力を発揮できることを意味している。私達は、IR建設に関しては『横浜ファースト』を宣言したが、観光に関しては『日本ファースト』と考えている」と述べ、自信を見せた。
テニスの大坂なおみ氏、日本の新アンバサダーとしてメルコの活動に参画
またメルコは、横浜におけるIR(統合型リゾート)の入札活動及び、今回立ち上げたMCXにおいて、現在テニス界に旋風を巻き起こしている大坂なおみ氏がブランド・アドバイザー兼スポーツ・グループ・ディレクターに就任したことを発表した。大坂なおみ氏は今年、グランドスラムのタイトルと女子テニス協会で世界ランキング1位を獲得し、2019年のTIME誌では「世界で最も影響力のある100人」の1人に選ばれている。
ローレンス・ホー氏は「日本には最高のものがふさわしく、大坂なおみ氏はまさにその象徴。彼女がメルコのチームに加わったことで、今後事業を展開していくコミュニティに素晴らしい機会がもたらされるだろう。そして、彼女がMCXをサポートしてくれることで新たな人々が日本の地方の美に興味と関心を持ってくれるだろう」と期待を込めた。さらに「私達の日本に関する計画は広範囲で、今回の大坂なおみ氏の就任はこれから実現する数多くのコラボレーションの第一号となる」と述べ、今後の展開を示唆した。
大坂なおみ氏は試合のため発表会には参加できなかったが、映像を通して「メルコのIR入札活動に関われることを嬉しく思っています。私の母国である日本は、特別な場所。そしてそのことを世界中から訪れる新しいお客様にお伝えできることを大変光栄に思っています」と述べた。
メルコは今年、横浜F・マリノスとコミュニティ・パートナーシップを締結、テニスの「楽天オープン 2019」でもスポンサー契約を結んでいる。また、7月には横浜開催されたフィギュアスケートのアイスショー「氷艶 2019」ではパートナーとして後援した。メルコの「スポーツとウェルネス」というコンセプトは一貫しており、ローレンス・ホー氏が示唆したように、今後もスポーツ関連のコラボレーションは続くと見られる。
MCXの最初の2つのプロジェクトを発表
MCXは最初の2つのプロジェクトとして、一つは箱根(神奈川県)に5つ星の温泉リゾート、もう一つは山奥のスキー施設を年間を通して利用可能な4つ星または5つ星の複合型スキーリゾートへと生まれ変わらせることを発表した。これらは共に既存の施設を再設計するプロジェクトとなっている。
箱根の温泉リゾートには、著名建築家の坂茂(ばん しげる)氏を起用し、約6500㎡の敷地に伝統的なスタイルの約35のスイートを備えた4階建てのリゾート施設に仕上げる予定。また、スキーリゾートにおいては、早速、大坂なおみ氏がスポーツディレクターとして、スポーツと健康、ウェルネスをどのように結びつければゲストと地域に貢献できるのかを、デザインチームを率いて企画していくとのことだ。
メルコリゾーツ&エンターテインメント及び、今回立ち上げられたメルコ・クリエイティブ・エクスチェンジ(MCX)の動きからは、今後ますます目を離せなくなってきた。と同時に、日本版IRの実現が近づいていると実感できるフェーズに入ってきた。日本版IRの夜明けはもうすぐそこにある。