日本型IRを巡り、動きが慌ただしくなった。日本経済新聞によると、大阪府市が独自にIR事業者に提案を求めた「コンセプト募集」に、米MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスの共同チームなど3事業者がコンセプト案を提出したことが18日、関係者への取材で分かった。コンセプト募集は事業者にとって選定の要件ではないが、事実上、公募に臨むのは3事業者に絞られたとみられる。他の2事業者は、シンガポールのゲンティン・シンガポール、香港のギャラクシー・エンターテインメントとみられる。
コンセプト募集では事業者の評価や順位付けはしない。コンセプト案を提出しなくても公募に参加することはできる。
大阪府市は2025年国際博覧会(大阪・関西万博)との相乗効果に期待し、万博前の24年度開業を目指している。少しでも準備を進めようと、府・市は事業者から施設や運営方針、ギャンブル依存症対策などについて提案を求めるコンセプト募集を4月からスタートしていた。IR実施法に基づく事業者公募に先立つ大阪独自の取り組みだ。
6月上旬までにMGMとオリックスのチーム、ゲンティン、米ウィン・リゾーツ、香港のメルコリゾーツ&エンターテインメント、米ラスベガス・サンズの5事業者が登録。残り2事業者は非公表としたが、関係者によると、ギャラクシーと米シーザーズ・エンターテインメントで、計7事業者が参加していた。
府市と事業者が面談を進める中で、8月下旬、横浜市がIR誘致を正式表明。その後サンズが大阪でのIRの事業者募集の入札に参加せず、横浜市や誘致の態度を明確にしていない東京都での開発に注力していく方針を表明し、シーザーズが日本市場から撤退すると発表した。
メルコリゾーツは9月18日、府市に事業者選定公募への参加を中止する意向を伝えたと発表。日本でのIR開発候補地として横浜市に注力するという。一方、MGMは8月下旬に「大阪ファーストの方針は変わらない」との声明を出していた。
吉村洋文府知事は4日、国による基本方針の正式決定前でも、事業者を公募する方針を明らかにしている。府市は今後、自治体が定めることになっている「実施方針」を策定後、年内に事業者公募を始め、来年春ごろの事業者決定を目指している。
国内の区域認定数は3カ所が上限。現在は大阪、横浜、和歌山、長崎が立候補。大阪はMGMが先行していると言われているが、開業へ向け、3者による争いは勝負所に入ったと言える。