投資顧問会社のサンフォード C バーンスタインによると、アジアでIRを運営するメルコリゾーツ&エンターテインメントが、最近発表されたオーストラリアのクラウン・リゾーツ株19.99%の取得に対する調査にパスすると見られており、同社によるクラウンの支配または完全買収への道を開くことになる。
NSWカジノ管理法の下でNSW独立酒類・ゲーミング局によって実施されるこの調査は、オーストラリアの複数のメディアが最近、クラウンとアジア犯罪組織のつながりに関する疑惑、そして同社のジャンケット事業者との関係を疑問視するニュースを報じたことを受けて要請されていた。それらの報道は、メルコのローレンス・ホー会長兼CEOがマカオのカジノ王、スタンレー・ホー氏の息子でるという事実を強調しており、クラウンは、NSW規制当局との間で2014年に合意した通り、スタンレー・ホー氏とのいかなるビジネスも禁止されていた。
水曜早朝に公表されたリサーチレポートの中で、バーンスタインのアナリスト、ヴィタリー・ウマンスキー氏、ユーニス・リー氏そしてケルシー・ヂゥー氏は、ニュースの「扇動的な」性質が、メルコによる取得が却下され得るというリスクを示した一方で、「これはメルコと豪ゲーミング業界両方にとって残念なことだろう」と述べた。
さらに重要な点は、「我々はメルコとローレンス・ホー氏が誠実性調査をクリアし、当局の本案承認を受けると予想している」と述べたことだ。
バーンスタインは、それを裏付ける事実としてメルコとクラウンがすでにマカオとマニラでのIR立ち上げでメルコ-クラウン提携でのパートナー(2017年の解消前)であり、当時NSWとビクトリア州での誠実性調査にパスしていたことを挙げた。また、スタンレー・ホー氏と三合会のマカオでの活動の間のつながりを主張する過去の報道は一度も証明されておらず、同氏はそのいずれの疑惑で逮捕されたことも、有罪判決も受けておらず、犯罪との一切のつながりを繰り返し否定してきたとも述べた。
アナリストは、「さらに、スタンレー・ホー氏が存命中である一方で、同氏はゲーミングビジネスからは完全に離れており、100%引退している状態だ。スタンレー・ホー氏は自宅で転倒しその後7か月間入院した後の2009年からは、ゲーミング業界の全体像から大方姿を消している」と述べた。
メルコが前進へのゴーサインを与えられることを前提に、バーンスタインは同社がジェームス・パッカー氏が保有するクラウンの残りの26.8%の株式を取得すると予想しており、これによってメルコの保有比率は46.8%に押し上げられ、そこから完全買収に進可能性もあるとしている。
バーンスタインは、「クラウンの完全買収が現実になるとすれば、メルコは本当の意味でグローバルかつさらに多様性のあるゲーミング企業になるだろう」と述べ、2021年のクラウン・シドニーの開業でプレミアムとVIPスペースでのメルコの既存事業に大きな相乗効果を与えることは確実だと述べた。
さらに大きな保有比率の取得には豪規制当局による十分な誠実性調査が求められることを考えると、同社の最終的なゴールである日本のIRライセンス獲得にもプラスに働くと見られており、故に「日本のIR入札におけるメルコのグローバルブランディングを強化する」とアナリストは述べた。