和歌山県が和歌山マリーナシティ(和歌山市)を候補地に進めるIR誘致に向けて、県が5月に設置した有識者会議の初会合が6日、開かれた。国が秋以降に公表するIRの基本方針を踏まえ、和歌山の魅力PRやギャンブル依存症対策などの意見を求め、県の計画に生かす。日本経済新聞や地元のわかやま新報が伝えた。
同会議は伊藤元重東京大学名誉教授を座長とする大学教授や弁護士、関西電力の森詳介相談役ら財界関係者ら8人の委員で構成。仁坂吉伸和歌山県知事は「日本の成長モデルの一翼を担うため、いろいろなアイデアをお借りしたい」とあいさつ。非公開で行われ、県がリゾート型IRの構想などについて委員に説明した。
IRを巡っては、国が事業者の選定基準などを示す基本方針を秋以降に公表する予定。これに基づいて県が実施方針を定める際、有識者会議に意見を聞く。
会議後、仁坂知事は「これから議論していく中で、委員それぞれの立場から意見を集めていきたい」とし、伊藤座長は「心理学や食文化の専門家からどんな取り組みができるかといった話もあり、観光などかなり多様な議論があった」と話した。委員からは「和歌山県はIR誘致の取り組みで進んでいる」といった発言があったという。
県は18年5月に公表したIRの基本構想で、海や山など豊かな自然を生かした「リゾート型IR」を打ち出した。海で楽しめるセーリングやフィッシング、山で楽しめる温泉や高野山などの観光資源を組み合わせる。
今後の課題は誘致に向けた和歌山の魅力をいかに発信するか。大阪がIR誘致の最有力候補とされており「関西にIRが2カ所できるのか」との懸念の声もある。県は「2カ所あれば相乗効果を生む」とみており、不利にならないとの立場だ。
ギャンブル依存症への県民の懸念払拭も課題のひとつ。和歌山市の尾花正啓市長はIR誘致には賛成だが「カジノは外国人専用にすべきだ」との見解で、日本人のカジノ入場も認める県と微妙な温度差もある。2回目の会議日程は未定。今後、県の実施方針について委員から意見を聞く。
一方、10日には海南市でIR誘致に反対する集会が開かれてもいる。毎日新聞が伝えたもので市民らでつくる「和歌山カジノに反対する海南の会」が企画し、約70人が参加した。