オーストラリアのスター・エンターテインメント・グループのマネージングディレクター兼CEO、マット・ベキア―氏が、儲かるVIPセグメントという話しになった時、国内のVIP事業者にとっては厳しい道のりが待っていると警鐘を鳴らしている。そこには米中貿易問題をめぐって長引く不透明感がハイローラーの消費額に影響を与えているという理由がる。
6月初めに2019年前半のIP売上は約30%減少すると予想したマット・べキアー氏は、Inside Asian Gamingに対してその傾向は年後半に入っても続いていると話した。
べキアー氏は、「その背景にあるパターンは、訪問客数は好調だが昔よりもリスクを取ることが大きく減っており、以前ほどの利益があがらない。非常に大規模のプレイヤーであり起業家だ。もし税の観点から見て彼らの商品がどれくらいの競争力を持てるかが明確でなければ、彼らは自由に使え資金で同じくらい多くのリスクを取ることはしない。それらの傾向は根強く残り続けており、中国のアメリカとの貿易協定に不透明感がある限りはその傾向が好転することはないだろう」と述べた。
そのような減退にも関わらず、べキアー氏は、ザ・スター・シドニーとザ・スター・ゴールドコーストを運営し、現在36億豪ドル(約2,716億円)をかけてブリズベンのクイーンズワーフ開発を行なっているスター・エンターテインメント・グループと、ライバルであるクラウンリゾーツの両方にとって長期的な見通しは魅力的だと話した。
同氏は、クラウンが22億豪ドルをかけて開発中のクラウン・シドニー(2021年開業予定)に言及し、「クラウンがここ、シドニーでオープンすることは観光地・シドニーをさらにいっそう魅力的な場所にさせるだろう。シドニー、ゴールドコースト、ブリズベンという東海岸全体が、VIPにとってとても、とても魅力的な場所になると思う。なぜなら、非常に近い場所に複数の高級な観光地があり、それぞれに独立した信用枠があるからだ」と説明した。
べキアー氏は、オーストラリアのVIPの長期的な成功のカギは、観光地としての同国のユニークな魅力を中心に展開すると付け加えた。
べキアー氏は「もしそれらの施設が、『ここでまさに本物の体験をすることができる』ということを示すことができるなら、我々は確実にVIP市場のシェアを伸ばしていくことができる。我々は単にその体験を作り上げる必要があり、クイーンズワーフで行なっている大量の仕事はそういった体験を作るということに尽きる。もし我々がゲーミングだけで競い合っているなら、距離的に遠く、ビザの取得が必要で、AMLやCTFの要件がかなり厳格であるために、訪問しにくい観光地だ。カンボジアやフィリピンに行く時に同じことを聞かれることはおそらくないだろう。だからこそ、我々が優位に立つためには単なるゲーミング以上のものを提供する必要がある」と語った。