メイバンク・キムエン・ホールディングスのリージョナルゲーミング部門アナリスト、サミュエル・イン・シャオ・ヤン氏によると、ゲンティン・シンガポールが豊富なネットキャッシュの状態にあることによって、同社は提示されている3つの日本のIRライセンスの1つを勝ち取るための競争において明らかな優位性を持つことになるという。
The Edge Marketsとのインタビューの中でイン氏は、現地当局の保守的な性質と米中貿易戦争の可能性を巡る懸念によって、ゲンティンが日本での多くのライバルたちよりも優位な経営状態にあると述べた。
イン氏は、「ラスベガス・サンズ(LVS)やその他多くの米カジノ事業者はほとんどがネットデット(純有利子負債)の状態にあるが、ゲンティン・シンガポールはネットキャッシュの状態にある。そのために、日本はおそらく彼らの方を好むだろう」と語り、マカオのIR、サンズコタイセントラルの建設の一時休止につながった2009年の世界金融危機の間にラスベガス・サンズが経験したキャッシュフロー問題に言及した。
「現在の貿易戦争によって別の世界金融危機が起こる可能性があることを考えると、今回日本はおそらくネットキャッシュの状態にある企業と仕事をしたいと考えている。従って、ゲンティンは優位な位置にいるだろう」
ブルームバーグの情報によると、LVS、MGMリゾーツ、ウィン・リゾーツそしてシーザーズ・エンターテインメントの米カジノ事業者大手4社は全てネットデットの状態にあり、シーザーズとウィンは5.25倍と3.97倍の純有利子負債対株主資本倍率、そしてLVSとMGMは100%以上の負債比率を持っている。
その点で言うと、マカオのギャラクシー・エンターテインメント・グループがネットキャッシュの状態にあり強力な競争相手として浮上する。しかし、「現時点で日中が友好関係にないために、いくつかの不利な点を抱えているかもしれない。シンガポールは(また)、カジノへの社会面でのセーフガード対策をかなり厳重に行っている。日本は数えきれないくらい多くの場面でシンガポールのカジノモデルに言及している。しかし私にとっては、ネットキャッシュの状態にあるということが別のプラスのポイントだ」とイン氏は述べている。