ブティック型投資銀行のユニオン・ゲーミングは、ウィン・リゾーツが範囲を広げた戦略の一環としてオーストラリアのIR事業者であるクラウンを取得するという衝撃的な動きを「純粋な防衛」と表現した。
ウィンが現金と株式交換の半々で71億米ドル(約7,897億円)の買収協議に入ったというニュースが火曜に流れたことを受けて、ユニオンゲーミングのアナリスト、ジョン・デクリー氏は文書を公表し、ウィンによるクラウン買収の動きは、現在の規制に関する懸念とマカオのゲーミングコンセッションの期限が2022年に迫っているこの時期にウィンの支配権を得ようと買収を画策する企業を抑止する手段となり得ると述べた。
デクリー氏は、「ウィン・ラスベガスとマカオの資産を求めている企業は多い。政府には特に外国企業に対して新たにコンセッションを発行する意思がほとんどないために、買収は新規参入者にとってマカオへの進出の機会を得る唯一の方法であると考えられる。さらに、マサチューセッツでの喜ばしくない結果(例えばライセンス無効)によっては、ウィン株が下落し、同社が再度魅力的な買収ターゲットになるリスクがある」と述べた。
同氏はまた、昨年のスティーブ・ウィン事件を受けて、マカオのギャラクシー・エンターテインメント・グループが同社の株式を4.9%取得しており、ウィンによる今回の動きは同社自身が買収される可能性を回避する手段になり得るとも述べた。
「ウィンがクラウンを買収した場合、規模を拡大させた企業は買収ターゲットとしては難しい相手になるだけでなく、様々な意味で買収を画策する企業を抑止することになる。第一に、ラスベガス・サンズやMGMといった米国の競合相手はおそらくオーストラリアに戦略的な関心をほとんど持っておらず、ウィンのターゲットとしての魅力を減少させる。さらに、厳しいと評判のオーストラリアの規制によって、ギャラクシーやゲンティンなどの海外企業によるウィン買収の動きを食い止めることになるだろう。オーストラリアとネバダでライセンス発行手続きをパスしなければならないというのは、長く面倒な仕事であることが分かるだろう」と書いている。
別の文書の中でモルガンスタンレーのアナリストは、クラウンの資産は典型的なウィン・リゾーツのポートフォリオにぴったりと一致する可能性があることを示唆している。
トーマス・アレン氏、ブラッドフォード・ダリンカ氏、マイケル M.・デラリオ氏そしてエリス・ケネディ氏は「ウィンの焦点は、世界最高峰のゲーミング市場で少数の高級資産を所有することに当てられてきており、クラウンのポートフォリオ(2つの大規模施設のみを運営し、あと1つを開発中)はこの戦略に一致する。オーストラリアは中国人プレイヤーの大きな基盤を持つ好調な市場である(クラウンは過去に、中国大陸からの訪問客が生み出すVIP収益は半分以下であると述べていた)。ウィンには中国人プレイヤーとの強い関係がある…これによって、クラウンがメルコと提携した時にウィンが手にすることのできなかった魅力的なクロスセリングの機会が生み出される可能性がある」と述べた。