世界的なクルーズ船会社ゲンティン香港は、26億米ドル(約2,830億円)の負債の返済期限を延長する「全体的な資本再構成」を行うことに、債権者との間で合意したと発表。
今回の合意は、新型コロナウイルスの感染拡大による事業への影響により、流動性を確保するために債権者への支払いを全て停止すると同グループが2020年8月に発表したことに関するもの。
同社はドリームクルーズ、クリスタルクルーズ、スタークルーズの3つのクルーズ船を運行しているほか、ドイツのMVヴェルフテン造船所で造船事業も行っている。また、フィリピンの統合型リゾート、リゾートワールド・マニラの合弁パートナーでもある。
その後、会計年度2020年に17億2,000万米ドル(約1,870億円)の損失を計上し、8月の発表時には「グループの事業に不可欠なサービスを維持するために、残りの利用可能な現金」をすべて使用する必要があり、「現在の財務上の負債について、全体的な債務再編の解決策を交渉するよう努める」と述べた。
現在、その解決策は達成されている。
金曜日の発表によると、同社の関連債権者、パートナーおよびその他ステークホルダーは、正式な書面による合意と、同グループの財務上の負債および資本再構成の「全体的で支払い能力のある改正および再編成」の主要条件を示す条件概要書を提供した。
ドイツ経済安定化基金(以下WSF)は膨大な数の条件の中から、MVヴェルフテンに対し、2億1,500万ユーロ(約285億円)の融資と8,500万ユーロ(約113億円)の議決権のない資本参加を実施予定。なお、後者は、現在建造中の2隻のクルーズ船クリスタルエンデバーとグローバルドリームの完成に向けた資金調達のために、同社に少額の出資をするというものである。
グループ全体では9億8,100万米ドル(約1,070億円)の負債を抱えているが、償還期限を延長し、利幅を縮小。その一方で、ドリームクルーズ、クリスタルクルーズ、スタークルーズが締結した15億米ドル(約1,640億円)の融資契約に基づく償却費の支払いを、最低2年間停止した。
また、同グループの既存の財務上の取決めに基づく財務制限条項の評価も中断された。
本取引の条件に従い、ゲンティン香港は、2021年12月31日までに最低1億5,400万米ドル(約168億円)の追加流動性資産を調達しなければならない。調達できない場合は、最低3,000万米ドル(約32億7,000万円)の株式金融に従うとともに、メクレンブルク・フォアポンメルン州およびWSFが提供する1億2,400万米ドル(約135億円)のコミットメント型スタンバイローンを締結する必要がある。
ゲンティン香港によれば、同取引は、ドリームクルーズを含む最近の3社間取引で5,900万米ドル(約64億3,000円)の現金を調達し、2億4,800万米ドル(約270億円)の関係会社貸付金を相殺したことで、グループの資本力が向上したことに基づくもの。
「当社とそのアドバイザーは、可能な限り早期に本取引を実施および完了すべく一生懸命に努力しており、当社の株主、債権者、その他ステークホルダーおよび潜在的な投資家に対し、適切な時期に追加の発表を行うことで、今後も最新情報を提供していく」と述べている。