マカオを拠点とする研究開発企業、ゲームソースが長い間計画されていたクラウドベースのゲームプラットフォームをマカオのゲームフロアに初めて導入することで世界のゲーミング業界を変革しようとしている。
マカオが電子ゲーブルゲーム(EGM)とスロットゲーミングの新境地を今まさに開拓するところかもしれない。この事実は、特にバカラなどの従来型のテーブルゲームが非常に大きな部分を占めるカジノフロアを持つ街にとってはちょっとした皮肉では済まされない。
マカオ発祥の研究開発会社、「ゲームソース」は、4年間という長い旅路の最終段階に達しており、独創的な新しいゲームコンテンツを紹介しながら、事業者には迅速かつ容易なアクセス方法を提供することを狙いにしたクラウドベースのゲーミングアプリストアの開発によって業界を変革しようとしている。
今後数カ月のうちにMGMのマカオの施設で全面公開されるゲームソースのプラットフォームは、ゲーム開発者からカジノ事業者、そして規制当局者までの全員にとってのハブとして機能しながら、本質的に市場を開放する。
創業者でありマネージングディレクターを務めるラム・ラオ氏は、「 ゲームソースは基本的にはゲーミングアプリストアだ。
アップストリームでは、カジノ事業者がそれを使用して当社のゲーミングライブラリから様々なゲームを選べるようになっている。ダウンストリームでは、大学生などの個人や、すでに契約しているCreaTecなどのスロットコンテンツプロバイダと協力して、当社のためにゲームコンテンツを開発・提供してもらう。このプラットフォームは本当の意味で新規参入者に市場を開放することになる」と説明する。
開発者の視点から見て、このアイデアは、ゲームソースプラットフォ ームでのゲーム制作に必要な全てのツールを提供することによって、以前は革新的なゲームコンセプトがカジノフロアに達することを妨げていた可能性があった、その障壁を取り除くものである。ゲームソ ースを使用してゲームを制作することで、開発者は、規制上のコンプライアンスの達成を目的としたその他全てのモジュールの中で、とりわけRNG(乱数発生器)、マネーロンダリング対策(AML)セーフガード、デジタルウォレットなどのコンプライアンス承認を受けた一連のモジ ュールにアクセスすることができる。
ウィン・マカオとMGMマカオの両方で開業準備チームに参加した経験を持つラム氏は、「ここでのキーワードはゲームだ。過去2年間、BMMテストラボと協力して、ゲームを作りたいがコンプライアンスやAMLのせいでカジノ用ゲームの作り方が分からないという新規参入者が使用できる高いレベルでコンプライアンスを守る一連のソフトウェアライブラリをモジュール化してきた。
想像力に富んでさえいれば、単にそれらのコンポ―ネントを使ってゲームを構築できる。そしてそのゲームは必ずしもスロットを指しているわけではない。当社のソフトウェアライブラリを使ってゲームを作る限りは、認定を受けられるチャンスは95%以上になる。なぜなら、我々はそれらのコンポーネントをBMMと一緒に作り上げているからだ」と語る。
事業者側では、ゲームソースは、ケージ(両替所)業務、スロット業務、監査等をカバーする業務モジュール一式を組み立ててきているが、規制の観点で最も注目すべきはすでに組み込まれた規制当局モジュールだ。マカオのゲーミング監察協調局との協議で開発されたこのモジュールによって、規制当局はゲームソースプラットフォームとそのゲームの使用をリアルタイムで監視できる。
ラム氏は、「今いる競合他社の製品はリアルタイムではなく、常に待ち時間が発生する。従って、規制当局向けに、今何が起こっているのかを監視するリアルタイムの設備を提供したのは当社が業界初となる」と語る。
ゲームソースはこのプラットフォームをさらに拡大していく前に、ベトナム、カンボジア、アメリカを含む主に4か国での展開に焦点を当てている。そして、既に10の管轄地域で特許を取得済みだ。
そしてもちろんマカオがそのトップにあり、MGMは昨年10月に、顧客がポイントでプレイできるトライアル版を設置した。ラム氏によると、そのトライアルは成功が証明されており、プラットフォームの正規稼働モードは、最終的な承認を待って来月または再来月中にスタートする予定となっている。一旦稼働し始めれば、その「生態系」は規定者、事業者そして開発者によって活性化される。
ラム氏は、「現在ライブラリには80のゲームがあり、MGMはその中の7個か8個を選択した。今のところはかなりローカライズされたスロ ットゲームだが、今後スロットではない新しいゲームが登場する予定だ。これは大きな転機だ」と説明する。
ラム氏はまた、MGMチャイナとの戦略的パートナーシップは都合がいいということ以上の意味もあると指摘した。
さらに踏み込んで、「MGMリゾーツとパンジー・ホー氏との合弁事業というのは、ゲーミングの世界では非常にユニークな企業だ。我々はマカオの規制要件に従う必要があるだけでなく、ネバダ州の規制にも従わなければならないため、世界で最もコンプライアンスを守っている会社の一つとなっている。
世界で最も厳しい規制地域はマカオとネバダであり、もしここMGMマカオで本格展開できるなら、ネバダでも他のどの場所でも展開することができる。我々の計画は最初から最高の業界標準を設定するためにトップダウン式のアプローチを取ることに焦点を当ててきた。
また本社で働く社員が80名以上おり、その99%がマカオ出身者だ。なので、これはマカオの人によって作られた実のマカオ製品であり、マカオの規制当局や事業者に新しい基準を設け、その全てについて、別の地域が後に続けるよう世界展開する目標をしている」と語った。